愛してる
愛してるわ
声は喉を駈け登る
愛してる
愛してるわ
声はふさがれた口に止められる
これは
禁忌 禁喜 禁気。
『I・愛・哀』
「ん・・・」
「なんや珍しい。、起きたん?」
カーテンの隙間から差し込む朝日に
ベッドに寝ていたあたしは起こされた。
「・・・侑士、もう行くの?」
「部活やもん。行かなあかんやん。」
白いシーツまいたベッドの上、裸のあたし
制服を着てネクタイ結ぶ、テニスバッグを持つ君。
おはようも交わさないあたし達。
「・・・ふーん」
「なんや、寂しいん?」
ベッドに近付いてくる君。
哀愁見せても愛執
知っているくせに。
「」
君にふさがれて重なる唇
君がくれる愛情
あたしにくれる愛錠
愛してる
愛してるわ
「・・・次はいつくるの?」
言わない。
言えない。
「んーいつやろなぁ」
言ったら君といられなくなる。
「いつがええ?」
君が座ってきしむベッド
あたしの耳は君の声におかされる。
「・・・今日」
「なんや、今日も?(くくっ)」
ここは危地
それは既知
君とあたしは体だけの関係
「気が向いたらくるわ」
「・・・」
白いシーツまいたベッドの上、裸のあたし
感触を楽しむように肌に触れてくる制服の君。
「今日は来ないんだ?」
「気が向いたら言うてるやろ?」
哀愁見せても愛執
知っているくせに。
「なぁ、。」
あたしの肌が君の制服と触れる
「ただのセフレに俺はキスしたりせえへんよ?」
(嘘つき)
嘘つき嘘つき嘘つき。
ベッドに座ったままの二人、抱き合って。
君の言葉に冒されて
君の声に侵されて
君の手に犯されて
深みにはまってまどろんで
消去 笑去。
愛してる
愛してるわ
この言葉
言えば会えなくなるくせに。
「ほなまたな。」
「・・・うん」
きしむベッド
君があたしにおくる愛情 愛錠。
愛してる
愛してるわ
君へあたしより
あたしは君により
おかされて。
ここは危地
それは既知
「やっぱり今日、来たるわ。」
あたしの部屋
出て行く君が笑いながら残した言葉。
「・・・あ・・いして・・る・・・」
君のいなくなった部屋
ベッドの上で
君に言った。
愛してる
愛してるわ
声は喉を駈け登る
愛してる
愛してるわ
声はふさがれた口に止められる
これは
禁忌 禁喜 禁気。
君とあたしは体だけの関係。
end.