自分ながらに同情する。





損な性格。





意地っ張り。






















『アマノジャンキー』























「好きだぜぃ、。」





近づく2人の距離



いつになく甘い雰囲気で



ブン太がいつもよりかっこよく見えた今日の帰り道。






「ブン太・・・」






近づく2人の距離。



重なるなら2人の思いも一緒に・・・・。






















































「あたしも。ブン太なんか大嫌い。」































































「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・あ。」


「・・・・またかよ・・・・。」






・ ・・・・・甘い雰囲気を見事に壊し、



粉末にしたあたしの言葉。






「だっだって!ブン太なんか嫌いなんだから!!」



「・・・・あっそ」






すたすたと帰り道を先に歩いて行ってしまうブン太。



・ ・・・・・・・・・・・・・・まただ。



またあたし、天邪鬼。






「(うー・・・・ブン太―・・・)」






いつになく甘い雰囲気で



ブン太がいつもよりかっこよく見えた今日の帰り道。



甘い甘い雰囲気で1つになれたはずの2人の距離



重なるはずだった想いはあたしが壊してしまった。



あたしは、先を歩いて行ってしまうブン太の後ろをとぼとぼとついていきながら家路を辿った。








































































いつだって肝心なところであたしは天邪鬼。



思いと言葉は裏腹。



伝えようとする度にあべこべの言葉。



ブン太。



気付いて。



あたしブン太にね、好きって言いたいだけなんだ。

















































































「ブッブン太!!」


「あー・・・じゃん。」






昨日の帰り道の汚名挽回・・・・違った、名誉挽回。



いいえ、昨日どころかいつも肝心なところで間違いを口にするあたし。



今日こそは・・・・



授業中の屋上。



サボるブン太とあたし。





「ブン太!!」


「ん−?」


「あのねっ・・・・あたしブン太のことが・・・・」





屋上で仰向けに寝ていたブン太が片手を突いて上半身を起こした。





「俺のことが?」


「すっ・・・・」


「す?」





ブン太があたしの顔を見た。



口は2人して‘す’の形。



さあ次を。



口の形を‘き’にするだけでいいの。





「ブン太のことが・・・・すっ嫌いです!」


「すっ嫌い?」


「・・・・・・・あ。」


「・・・・そんな日本語ねえって。」





思いを追いかけ。



追いつけ、言葉よ。



好きと言うだけじゃないか。





「違う・・・すっ嫌いじゃなくて・・・」


「・・・・・・・・・・





ブン太の手が優しくあたしの頭をなでた。





「慣れてるっての」


「・・・・・・・・」


「お前に嫌いって言われるの。」





苦笑いするブン太。



いいえ、そんな顔がさせたいわけじゃなくて。



告白されたときのように



黙って首を立てに振るだけでも、伝わることがあるけれど。






(でも、ブン太は言ってくれるじゃない。昨日みたいに。あたしに好きって。)






重なるなら想いも言葉も。



天邪鬼。



あたしの中から出て行って。



嫌いは好きの裏返し。



本当は気付いてくれてるあなたにもう1つ気付いてほしくて。






「・・・・ブン太」






あたし、



可能なかぎり探してる。



あなたの為にできること。



不可能でも探してる。



あなたの為にできること。






「ブン太・・・あたしは・・・ブン太がっ・・・・」






好きって言ったら苦笑いではなく笑いかけてくれる?



天邪鬼はあなたを思っているんです。



嫌いと言いながら、毎日のように。



嫌いと言いながら、好きと言っているんです。



ただ、好きと。



それだけを伝えたい。






「ブン太なんか・・・・ブン太なんか・・・・」






思いを追いかけ。



追いつけ、言葉よ。



好きと言うだけじゃないか。



・ ・・・・・・あたしは、ダメみたいだ。



出て行ってと願う天邪鬼はあたし自身なのだから。
































































「おい、アマノジャク。」













































あたしはブン太を見た。



あたしをアマノジャクと呼んだブン太。



ブン太は真剣な顔であたしを見ていた。









「確かに嫌いは痛いけどな、俺はわかってるつもり。」


「・・・・・・・」


は俺のこと好きだろぃ?」


「・・・・・っ」







言葉を口にしようとしたあたしの口にブン太が人差し指をあてた。











「おい、アマノジャク。口にしなくていいから。俺が好きだったらちゅうしようぜぃ?」


「!!」


「・・・・・・・・・昨日しそこねただろぃ?」









ブン太があたしの口から人差し指をはずした。



自分でも赤くなってるのがわかるくらい顔が熱い。



笑うブン太は優しくて。






「・・・・・大丈夫だよ。が言えない分は俺がお前に好きって言う。」






2人の距離は近づく。



重なるなら、想いも、言葉さえも。







































































「ブン太・・・・す・・・・・・・・・き・・・・・・」


















































「え・・・・・?」


「・・・・・・・・・あたし、言えた?」






震えたのは声。



‘す’の口の形をそこから‘き’に変えた。



それだけのこと。







ー!!!!!!」


「え?!ブっブン太!!」






授業中の屋上であなたがあたしを抱きしめた。







「やべっ俺今マジでうれしい!!」






ブン太の声と言葉がうれしくて。



思いを追いかけ。



追いつけ、言葉よ。



好きと言えたじゃないか。









「ブン太、・・・・・・・・・・・・・・・・大嫌い!!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・あ。」








いつだって肝心なところであたしは天邪鬼。





「・・・・


「だっだって・・・・!!」





思いと言葉は裏腹。



伝えようとする度にあべこべの言葉。





あたしを抱きしめていたブン太が少しだけ体を離した。



言葉を口にしようとしたあたしの口にブン太が人差し指をあてて。





「さっきのうれしかったからいい。」





もう一度近づく2人の距離。



重なれ、想いも、言葉も。































「・・・・・大丈夫だよ。が言えない分俺がお前に好きって言う。」



















































天邪鬼はあなたを思っているんです。



嫌いと言いながら、毎日のように。



嫌いと言いながら、好きと言っているんです。



嫌いは好きの裏返し。



でもいつかはちゃんと伝えられるようになると約束するよ。



だから、何度でも重ねましょう。





























































































































2人の距離も、想いも、





言葉でさえも。






















































End.