一個年下





生意気でかっこいい





それがあたしの彼氏です。
























『ガキンチョの恋』























「ねーねー切原くんてさー」


「あーあの二年の天パの子?」


「かっこいいよねー」


「えーあたしテニス部なら幸村君派だなー」






あたしもテニス部なら柳生派。



なんてったってジェントルだし






「そうじゃなくてー。切原君はかっこいいって話!」



「「「それは賛成!」」」










・・・・あたしも。



心の中で小さく挙手。












































先パーイ!あれ?・・・いた!」







ざわざわ



ざわざわ



君が教室を訪ねて来たとたん



輪になってテニス部話に華を咲かせていた休み時間の女子達のざわめきが増す






「・・・・赤也、教室に来ちゃダメって言ったじゃない」


「別にいいでしょ?会いたかったんですもん。」






クラスメイトの視線があたしに刺さる



はい、内緒にしてました。



切原赤也。



一個年下



生意気でかっこいい



あたしの彼氏です。







君はモテるから






視線が刺さるあたしの背中














「・・・赤也。どっか行こう」


「どこに?」


「どこでもいいから!」











あたしは廊下をちょっとだけ早歩きで歩き出した



・・・すぐ追いつくんだね



あたしが先に歩き始めたのに




















一個年下



生意気でかっこいい君は



あたしが隣を見るといつもそこにいる



いてくれる






(・・・年下・・・でしたよね?)






隣を歩く赤也はかっこよくて













先輩のクラス、騒がしかったすね。」


「赤也が急に来たからでしょ?」


「へへっ知ってました!」


「・・・生意気ー」











そういうところ



子どもだね、なんて



君より大人なフリをする。






「ところでどこに行くんすか?」


「歩き回ってるだけ」






校舎内を二人で歩き回る



行き先なんか思いあたらないから。






「赤也が急に教室に来るから・・・」


「だから、会いたかったんですってば!」


「あせったの!」


「・・・なんで。」







君は、モテるから







「・・・知らない、赤也なんて。」



「・・・何、怒ってるんすか」







































君より大人のフリをして



本当に子どもなのはあたし。



君に働く独占欲は



あたしが子どもの証拠






(だって、嫌なの)






君はモテるから



みんなが頬染めて赤也を見てるのが。










「・・・・」


先輩」


「赤也がいきなり教室に来るから・・・」











図書館に通じる廊下



誰もいないそこで



あたしは足を止めた。






「だから?」



「・・・」






君より大人のフリをしていた。






一個年下



生意気でかっこいい






君はモテるから。






だから、大人のフリして独占欲。













(気付いちゃったじゃない)











本当に子どもなのは、あたしのほう
































「・・・前から思ってたんすけど。」


「・・・何?」


「そろそろ先輩に敬語止めてもいいと思いません?名前も呼び捨てしていい?」


「・・・」


「・・・・邪魔なんだよ。そんな年下を表す壁」




































君がモテるの分かるんだ。



一個年下



生意気でかっこいい



あたしの彼氏は



あたしよりずっと大人だから。










「・・・いいよ」









だから、ダメなんだ。



好きで、好きで。









「・・・・嫌だったの。赤也が教室に来るの。みんなが赤也のこと見るんだもん。」









こんなこと言っても困らせちゃうのかな。



君への独占欲をはじめて口にした。

























































































「俺がモテるのはからだけで十分だけどな。」















































































・・・何?その顔。



そういうところ子供ねなんて



大人なフリ。






























だって赤也。



悪戯が見つかった子供みたいに。



人見知りで恥ずかしがる子供みたいに。



そんな風に笑うんだもん。










「・・・生意気。恥ずかしがりながらそういう事言っちゃいけませーん。」


「別にいいだろ!!」









結局、2人とも子供なんだね。



あたしも君も。





















一個年下。



生意気でかっこいい。



あたしの彼氏はそんな人。



あたしも君も子供っぽい2人です。

















































でもね、確かに子供だけど。



















































子供っぽい独占欲も







君が本気で好きな証でしかないから。






























end.