何があったんだ?
銀の泪。
雨が、やまない。
『銀の泪』
「景吾・・・帰る?」
「」
生徒会室の窓辺に座って
降り続ける雨を眺めていた。
壁にかかっている時計を確認すれば
こんなにここにいたのかと。
「、来いよ」
俺の差し出した手に
お前は手を重ねる。
引き寄せて抱きしめれば
雨の日の独特なにおいさえ忘れて。
「・・・帰ろう、景吾。」
人間は後悔するようにできていても
俺はそんなくだらないことはしない。
したくない。
「雨、ずっとだね。」
振り返らないと決めた。
「せっかく全国大会出場決まったのにね。練習見たかったなあ」
前だけを見つめていようと。
こいつの為にも
俺は決めたはずだ。
「景吾?」
なのに。
「雨なんか降るからだ。」
「え?」
何があったんだ?
銀の泪。
雨が、やまない。
「・・・・どうして、あの時。」
俺らしくもない。
ただ、勝ちたかった。
自分たちの力で全国へ。
「安心した・・・・かも」
「・・・んでだよ」
「後悔。景吾もするんだね。」
空からは銀の泪。
誰がそんなに泣いている?
「絶対優勝しようね!!」
「・・・ああ」
やまないなら、なあ、銀の泪。
この後悔の念も、過去へのわだかまりも
今だけは、全て洗い流すためだけに降って来い。
明日には、きっと全て
晴れているから。
「明日の練習は絶対見に来い、。」
「晴れるかな?」
「晴れるに決まってんだろ。」
「・・・景吾がそう言うなら、晴れちゃうんだろうなあ。絶対。」
が笑っていられるよう
明日にはきっと
全て晴れさせてみせるから。
end.