「来ないでぺてん師!」



「なんで?」



「嫌いだから!」



「でも俺はお前さんが好きじゃ」






















『honest』

























放課後の教室。



来週からテストがあるから



今週は部活がない。



朝も放課後も部活の時間を気にしなくていい。












聞くなら今。











「今日こそ言ってもらう」


「なっ何を?」


「本当のことじゃ」















俺と以外誰もいなくなった教室で



俺はを教室の隅の壁に追い詰めていた。



とは言っても



俺が近付こうとするとは一歩後退するから



最終的にここに辿り着いただけ。







一定の距離をおいて、



その距離より俺はに近付こうとはしなかった。













「言って。」


「だから何を?!」


「俺はお前さんを騙したりせん」













正直者の



真っ直ぐな瞳はいつだって正直に。



その目と目を合わせている今は



騙すことなんてできん。

















「俺のこと本当に嫌い?」


「嫌い嫌い嫌い嫌い大っ嫌い。」


「・・・・」

















今のはさすがに刺さったけぇ・・・



正直者の



今のもきっと本当のこと。

















「あたし、帰る。どいて。」


「・・・俺がどかんでも帰れるじゃろ?」







俺なんか通り過ぎて行ける



その為の距離をとった。



俺がこの教室に来る前に帰ることだってできたじゃろ?



それでもここにいるのは・・・。







「・・・帰らんの?」


「・・・仁王って何考えてるかわかんない。だから嫌い。」


「俺はが好きなだけじゃ」

















本当のことしか言わんよ。



正直者の



だからお前さんも、もう一つ本当のことを言って。



嫌いじゃないほうの真実。
























お前さんからその言葉を聞く為に足りないものは何?






















「・・・なんであたしなの?」


「なんで・・・か。」


「仁王ならもっとかわいい子周りにたくさんいるじゃん。」







正直者の



理由なんかない。



気付いた時には好きだった。



















それでもからその言葉を聞く為に



その理由が必要だとするなら。













































「お前さんがいたから俺は恋をしたんじゃ。それじゃダメ?」













































だから好きになった。



騙したりせんよ。



本当のことじゃ。















に近付く。



距離を縮めて、の髪に触れる。






「好いとうよ、






その髪に口付けて。





正直者の







「今度はお前さんの番。」






帰らなかった理由を教えて。






「仁王が・・・嫌いです」


「・・・また刺さったけぇ。」










「でもずっと前から好きだったりします」









正直者の



嫌いも好きも本当



ずっと聞きたかったのは



後者だけど。


















「おっと」














今度距離を縮めて来たのはからだった。



抱きとめては抱き締めて。










「テストできなかったら仁王のせい」


「それは困る。俺がテストできなかったらのせいにするつもりだったからのう」


「仁王は頭いいでしょ?」


もじゃろ?」
























「「一緒に勉強する?」」



















「俺の家でいいかの?」


































理由なんかない



どこが好きとか



そんなのわからない。



正直者の



この心に理由が必要なら、











































それは、お前さん。



























end.