不本意だ。










「あのっ幸村君に彼女がいること知ってるけど・・・好きなんです!」








こんなことでを待たせていること。




以外の誰かから好きだと聞くこと








「・・・わかっているなら」


「え?」


「わかっているなら俺に告白なんて、おかしなことだってわかりなよ」


























不本意だ。
































『不本意の先』
































さんが幸村と付き合ってるのは知ってるけど、それでも、好きなんだ!」






なんのデジャブ?



不本意だ。






「あのっ・・・」


「わかっているならに告白なんておかしなことだってわかれよ」


「精市っ・・・」






に告白してきた男を睨む



突然現れた俺にもそいつも驚いた顔で俺を見ていた



なんのデジャブ?



こういう日に限って曇っていて



日が落ちるのが早い






に近付くなよ」


「ちょっ精市!」






もう一度



殺気をこめて男を睨むと



の手首をつかんで帰途へと足を踏み出した。



振り向くと男は青ざめた顔で立ち尽くしていた。







(・・・不本意だ)







は俺を校門のところで待っていてくれた。



もちろん一緒に帰るため



ところがさっき知らない女子から呼び出されて



俺はいつもより校門へ向かうのが遅くなってしまった。



やっと着いたと思ったら今度はが告白なんてされていた



なんのデジャブ?



告白の文句も似ていた。







































「せっ精市!手っ・・・」


「・・・ごめん」






の手首を思いきり掴んでいた手をあわてて離した






「(!!)ごめん、。痛かっただろ?」






俺が離したの手首は赤くなっている。






「・・・大丈夫。」


「(不本意だ。)・・・。」






俺は手を差し出すとがそれに重ねてくれた。



優しく手を握るとが握り返してくれる。






「赤くなっちゃったね・・・・」


「大丈夫だよ!」






ゆっくり歩きだした帰り道



見上げた空はもう夜が浸食を始めていた。





・・・不本意だ。





まだ半そでの制服だから



握るの手の少し上に俺がつけてしまった赤が見える






「・・・不本意だ。」


「何が?」


「全部だよ」


「?」






以外の人から好きだと言われること



が俺以外の奴から好きだと言われること



俺にはがいるのにには俺がいるのに



それを知られていて好きだと言われること























「・・・、好きだよ」


「どっどうしたの?突然!」


















不本意だ



暗くなるまで君を待たせたこと



その白い肌に余計な赤を足してしまったこと






「・・・・・・・・・・・・・・・・不本意だ。」


「精市?」


「俺以外の奴からに好きなんて言わせたくなかった」






優しく握り締めた手



以外の奴から好きなんて言われても



うれしくない。



すべて不本意だ。
















「・・・・・・・・・・・・・・不本意。」


「・・・?」


「あたしだって不本意。精市、校門に来るまで告白されてたでしょ?」


「・・・不本意にだけどね。」


「あたしだってあたし以外の人から好きなんて聞いて欲しくないよ」













なんのデジャブ?



同じような告白だった。



俺にはがいるってわかってるのに、



には俺がいるってわかっているのに、



それなのに好きだと伝えたらしい。

































不本意だ。

































































。」






不本意なんだけど、を待たせたのは俺のせい。



が告白されたのは俺がを待たせたせい。



俺がに余計な赤をつけてしまったのはが告白されてたせい。









結局この不本意は俺のせい。








それを許して欲しくてにキスをした。






「・・・ん」


。」






優しく手を握って帰り道の足を止めて。






「すまない、


「え?」






不本意だ。



なんのデジャブ?



が俺以外に好きだといわれることも



以外に好きと言われることも



を待たせてしまったことも



まだその手に残る赤も。



























「精市」

















































優しく手を握る。



一度離した唇はもう一度重なって



から俺にキスをした。







・・・」


「精市は謝ることしてないと思うけど?」







その手に残る赤。



謝るには十分な理由だよ。









。」









でも。



許してもらうためにするキスも不本意なことな気がしてきたから。



もう一度俺からにしたキスは



もちろん、本意で。















































今度は君が好きだからという理由にした。

















































end.