お前を失うと、わかっているのに。
「景吾、景吾!これは?」
「できるところまで自分で解いてみろ。」
「・・・うーん。」
「・・・・・・。」
「ん?」
「・・・なんでもない。」
「(?)・・・・変な景吾。」
なぁ、。
「・・・・・・・・・・・・」
毎日、
お前を好きになっていくばかりで、困るんだよ。
毎日、
会いたくて困るんだよ。
失うと、わかっているのに。
『Ich liebe dich』
出会ったのは中等部にあがってからだった。
その中等部の三年間、は病院への入退院を繰り返していた。
「できた!」
「・・・・答えが違ぇよ」
「えー!」
「・・・計算ミスだな。やり直し。」
「景吾、スパルタすぎない?」
「あん?俺はいつでもには優しいぜ?」
「・・・どーだか。」
お互いの顔を見合わせては笑う。
病室からこぼれる笑い声。
小さくて、楽しそうなの声。
が上半身を起こしているベッド。
そこに簡易机を設置し、俺がのベッド近くにイスを持ってきて座る。
それが病室での2人のいつもの位置だった。
簡易机の上に広がるのは、今日学校であった分の授業ノート、教科書。
「今度のテスト範囲広いね。」
「最後のテストだからな。」
「景吾、いつもごめんね!景吾だって自分の勉強あるのに。」
「勉強なんざしなくてもできる。」
「嫌味だー!」
「よくわかってるじゃねぇか、。」
がすねた素振りを見せて、俺は笑う。
そんな俺を見ると、すぐにも笑い出す。
繰り返す入退院。
その度に俺はの病室に来て、その日あった授業内容を教える。
は一度決めたことは何がなんでもやり通す奴で
入院はしていても毎回の定期試験だけは学校に来て受けていた。
本人いわく、学生の義務だそうだ。
「もうすぐ卒業式だね。」
「・・・・ああ。」
「景吾、卒業生代表で答辞読むんでしょう?」
「まあな。」
「楽しみにしてよーっと」
「・・・は泣いてて聞いてねぇだろうけどな。」
「聞いてるよ!」
「くくっ・・・わかったわかった。」
もう、見慣れてしまったどこを見ても、白い病室。
春が近い。
あれだけ人を寒がらせていた空気はどこへ行ったのか。
空は晴れ渡る日が続き。
室内だったら、暖房器具はいらないほどだ。
俺たちには中等部の卒業式が迫っていた。
「・・・・。」
「ん?」
どこを見渡しても白ばかりの病室で。
と交わすキス。
の頭に手を回して、が俺の胸元にそっと手を置く。
長いような、短いようなキス。
唇を離せば、いつも照れているがいる。
「・・・また明日来るな。」
「うん!」
「・・・これが今日の宿題。全訳しとけよ」
「おっ多いよ、景吾!!」
「明日までだ。」
「・・うっ・・・」
俺がに手渡す、少し多めの英語のプリント。
毎回、こうして勉強を教えに来た最後に
俺はに宿題を出した。
病院でに面会できる時間は限られていた。
それでも、俺にはに勉強を教えに来ている名目があったので、
通常の面会時間よりは多く時間が与えられている。
それでも。
「景吾。」
「あん?」
「・・・・また明日ね!」
「・・・・・・・・・・・ああ。」
に会える時間は短いから。
最後の最後まで、キスを交わす。
白が、赤く染まる前に、
俺はいつもと会えなくなる。
唇を離せば、いつものように照れているがそこにいた。
「・・・じゃあな。」
は、知らない。
自分が、どんな病気か。
病院をでれば、黒塗りの車が俺を待っていた。
俺は車に乗り込むと、あの日のことを思い出した。
それは、いつものように
に勉強を教え終えて、病室をでた直後だった。
細く、少しの戸惑いを見せるソプラノが俺に声をかけてきた。
「あの、あなたが・・・・・・跡部くん?」
「・・・・そうですが。」
の母親だとすぐにわかった。
いつもわざわざ俺とに、2人だけの時間を与えてくれている人だと。
雰囲気にの面影を見た気がした。
の母親は、俺にあとをついてくるように促した。
特に話す事もなくたどり着いた屋上で。
俺はのことを聞いた。
「・・・・・・あの子は生まれたときから医者に、長くは生きられないと言われてきたの。」
「?!」
「あの子の病名は・・・・・・」
不自然にはずっと思っていた。
入退院を繰り返す。
今回の入院は今までで一番期間が長い。
長すぎると思っていた。
いつになれば、は学校に来れるようになるのかと。
俺から見れば、病室だろうとなんら変わらず元気に笑うは、今すぐにだって退院できそうだった。
「これが、最後の入院。もう、退院はないの。」
「どういう、ことですか?」
「・・・・あの子には時間がないのよ。」
「・・・・・それは。」
「・・・いつもは、あなたのことをうれしそうに話してくれたわ。」
それは。
「跡部君。あなたにも覚悟をしていて欲しいの。」
そのときはまだ寒いばかりの屋上で
の母親は涙声。
俺は、どう受けとめていいのかわからずにいた。
には時間がない。
それは。
その言葉は。
覚悟とは。
俺は。
(どう、受けとめればいい。)
「・・・・は・・・」
「・・・・・・・・・・」
「は知っているんですか?そのこと」
は変わらず、笑って見せるのに。
「・・・いいえ。あの子は、自分が余命宣告を受けていることも知らない。」
もうすぐ、だからと。
の母親は、涙を零した。
もう、時間はないのだと。
聞かされた病名は、耳慣れない未知のもの。
本で調べ、専門家にも問い合わせた。
俺がの病気で知ったのは、
それが難病であること。
そして、治療法が見つかっていないことだけだった。
最近は、毎日のように通う病院。
の病室の前で、俺はいつも足が止まってしまう。
中になかなか入れない。
いつもの、ように。
の病気を知って、俺が思うことだった。
何ができるか考えた。
俺に、何が。
は何も知らずに、いつものように笑っている。
なら、俺にできるのは。
「・・・・・・・・・・・・」
<ガチャッ>
平静を、装うことだけ。
「あっ景吾!」
「・・・・よう。宿題できたか?」
「必死だったよ、もう!」
「くくっ・・・・見せてみろよ。」
「はい。」
が俺に宿題のプリントを手渡す。
英語の長文の下に、の和訳が綺麗な文字で書かれていた。
いつものように、は上半身を起こし、そこに簡易机が設置され、
俺がベッドの近くにイスを置いて座る。
「・・・どう?」
「・・・・受身の文に注意しろよ。和訳がおかしい。」
「・・・はい。」
毎日のようにここに来ていた。
この白い病室に。
「今日は何やる?」
「のネックは英語と数学だからな。今日は数学だな。」
「・・・数学嫌い。」
「社会系等と理科系等は教科書読めばどうにかなる。数学くらいがんばれよ。」
「数学くらいって!景吾、あたしはくらいじゃないんだよ!!」
「わかったわかった。ほら、この問題。」
「・・・はーい。」
は、元気だ。
出会った頃から明るい性格。
自分の思ったことははっきり伝える。
笑顔が多い。
笑い声は、綺麗だ。
「・・・・・・・・・・・・・」
の白い手が、ノートの上でさまよう。
は口元に手をあてて、目の前の数学の問題に悩み始めた。
「もうすぐ卒業式だね。」
「・・・・・・・・・・・・」
できる、よな。
卒業式。
と一緒に。
「景吾・・・これわからない。」
「・・・あん?この式ごとXでおけばいいだろ?」
「・・・ん?・・・・・・あ。」
「・・・バーカ。」
「バカって言わない!」
「くくっ・・・・・」
「景吾!笑わないで!!」
そうは、言っても。
は、俺が笑ってる姿を見れば笑う。
いつものような笑顔。
いつも。
いつも見せてくれる笑顔。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
・ ・・・・・本当、なんだろうか。
「・・・・あの子には時間がないのよ。」
は、死んでしまうのだろうか。
「景吾?」
・ ・・本当、なんだろうか。
「景吾?どうしたの?」
「・・・・・・・・・」
難病。
治療法は見つかっていない。
「けっ景吾っ・・・あんまり見つめられると・・・あのっ・・・」
覚悟?一体、何の。
「」
の手から、シャーペンが落ちた。
俺はの手を取り、自分の元へ引き寄せると
そのままにキスをした。
「景っ・・・」
「黙ってろ。」
「・・・ん・・・・」
・ ・・・・本当、なんだろうか。
を抱きしめる力を強め。
角度を変えては、キスを繰り返し。
が苦しそうに、吐息を漏らす。
「跡部君。あなたにも覚悟をしていて欲しいの。」
は、死ぬのか?
・ ・・・本当、なんだろうか。
覚悟?一体、何の。
は、ここにいるのに。
「はぁっ・・・・景吾っ・・・・?」
「・・・・・・・悪い。」
「・・・・・どうしたの?」
唇を離せば、赤く染まるの頬。
俺に首をかしげ、長いキスのせいで息切れをしていた。
俺は。
の唇を指でそっとなぞると
口角を上げて、平静を装った。
「・・・・抱きたくなった。」
「なっ・・・・・」
「安心しろよ。病院で襲ったりしねぇよ。」
「・・バカっ・・・・・・」
俺がの瞳を見つめて、笑うから
は恥ずかしそうにうつむいた。
受け止めるなんて、無理だ。
毎日、
お前を好きになっていくばかりで。
毎日、
会いたくて。
失うと、わかっているはずなのに。
「跡部。今日どっか寄って食ってかへん?久しぶりにレギュラーそろいそうなんやけど」
「・・・・俺はパスだ。」
「・・・なんや。テスト前に珍しく勉強するん?」
「バーカ。病院だ。」
「あっ・・・。そっか。そやったな。」
今は部活も引退して、帰る準備をすませれば
放課後の時間は、思い思いに過ごしてきた俺たち。
忍足は俺の顔を見てうさんくさく笑って見せた。
「・・・んだよ。」
「いや・・・・跡部、のこと溺愛やなぁって。」
「・・・・・・・・」
「お前って自分が一番みたいなとこあるやん。跡部の中でが一番になってんならすごいことやない?」
・・・・・あいつは。
は。
「・・・・すごいことなんかじゃねぇよ。」
俺の中で、大切すぎるから。
当然のように、は俺の中で一番を占める。
忍足の胡散臭い笑顔に、俺は一発ケリを贈った。
忍足は鳩尾を押さえていたが、
俺はそれを無視して、いつも通り病院へ向かう。
(・・・・一番、だから。)
覚悟、なんて。
できるわけもない。
<ガチャッ>
白い病室に足を踏み入れる。
いつもならすぐにでも聞こえてくるはずの声がしなくて。
俺はあせった。
起き上がっていない姿に、俺はベッドに駆け寄る。
「(・・・・・・・・・)」
あせりは、すぐに消える。
聞こえてきた小さな寝息に、目に映った気持ちよさそうな寝顔に。
俺は、胸をなでおろした。
近くにあったイスに腰を下ろすと、のベッド付近に置かれていた棚の上に
昨日俺が出した数学の宿題が置かれていて、それを手に取った。
によって、一通り解かれている問題に、
一つ一つ目を通していく。
過程はあっているのに。答えが違う。
いつものの答案。
「だから計算ミスだっつってんだろ・・・・・」
「・・・んっ・・・景吾・・・・・・・」
「?」
零した独り言に、が起きたのかと思ったが。
それは寝言だった。
寝返りを打ったの顔が、俺の目に映る。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺は数学の宿題を元の位置に戻して。
を起こさないように、ベッドのふちに軽く手をつくと、
俺はに掠め取るようなキスを贈った。
は起きる気配を見せない。
この時間。俺とが2人きりになれるようになのか。
の両親も、看護師も、医者も。
誰もの病室に入ってきたことはなかった。
「」
の髪を、指に絡める。
さらさらと、巻き取れなかった髪が落ちていく。
もう一度にキスをして。
起きないお前の名前を呼ぶ。
「・・・・・。」
お前を失うと、わかっているのに。
なぁ、。
毎日、
お前を好きになっていくばかりで、困るんだよ。
毎日、
会いたくて困るんだよ。
失うと、わかっているのに。
「・・・・・・逝くなら、俺も連れてけよ。」
声が、かすれた。
酷く、胸が苦しく思えるのは、
が好きだからなのだと。
が、俺の中で一番を占めるからなのだと。
「・・・・・・・・な・・・いで」
「・・・・・・・・?」
うっすらと、開いた瞼。
の髪に触れる俺の手に、がそっと手を重ねてきた。
「・・・・あなたは、いかないで。」
目を見開く俺が、そこにいた。
の目に映る俺が見えた。
がゆっくりと体を起こし始める。
「・・・・起きてたのか?」
「・・・・景吾は、いっちゃダメ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・知っていたのか?」
知って、いたのか。
が上半身を起こしたことで、
俺の手から、の髪が一つ残らずこぼれてしまった。
は、俺に笑ってみせる。
「自分の、ことだもの。」
時間が、ないのだと。
自分が難病に冒されていると。
その病気に治療法はないのだと。
「・・・ダメだよ、景吾。ついてきちゃ。」
は、知っていたのだ。
もうじき、会えなくなることも。
全てを受け止めている、の姿が痛かった。
俺はを引き寄せ、抱きしめる。
「・・・・・・・・お前も、いくんじゃねぇよ」
覚悟をしておけと、いわれた。
「・・・・景吾と一緒に、卒業したいな。」
「できるだろ?あと3日でテスト。それが終わればすぐだ。」
「・・・・うん。・・・がんばる。」
抱きしめても、抱きしめても。
はここにいるのに。
の心音が聞こえるのに。
は笑うのに。
なのに。
・ ・・・なのに。
「ねぇ景吾。あたし高等部にあがったら英語以外も勉強したいな。また教えてくれる?」
「・・・当たり前だろ。」
「・・よかった。」
「・・・・・・・・」
「ん?」
どうして、そんな風にいられる?
受け止められる?
俺は、
俺も受け止めなければならないはずなのに。
覚悟を、しなければいけないはずなのに。
抱きしめていた体を離して、を見据えた。
手だけは、いまだの肩を持ったまま。
は、俺に笑ってみせる。
「・・・・・今日の、宿題だ。」
「え?」
「Ich liebe dich」
「イヒリーベ、ディヒ?」
「Ich liebe dich・・・明日までに訳しとけよ。」
「えっ・・・それっ何語?」
「教えたらおもしろくねぇだろ?」
が、いつもどおりだから。
俺も笑って見せた。
キスを交わして。
長い長いキスを交わして。
微笑みあって。
願い、祈る。
が、俺の傍にいつまでもいるように。
いつまでもいつまでも、傍に、いるように。
Ich liebe dich
に教えた。
が、俺の傍にいつまでもいるように。
いつまでもいつまでも、傍に、いるように。
・・・・だが。
俺の願いも祈りも。
誰も聞き届けてはくれなかった。
「跡部!今の両親から電話がきてすぐにお前に病院に来て欲しいらしい。」
翌日。いきなりの電話。
それを俺に伝えた教師。
授業中だったが、何もかまわずそのまま俺は走り出した。
()
。
なぁ、困るんだよ。
いなくなると聞かされたって、
覚悟をしとけと言われたって。
いつもお前を想うんだよ。
いつだってお前を想うんだよ。
困るんだよ。お前がいないと。
俺の一番が空席になるんだよ。
走って。
走って、走って、走って。
必死に。死にそうになるくらい。
必死に。何も考えられなくなるくらい。
なのに。
間に合わなかった。
<ガチャッ>
いつもの、の病室のドアが開く音。
足を、踏み入れる。
扉が閉まって、その空間には俺との2人きり。
廊下では、の母親が泣いていた。
白いこの病室で。
真っ白なが横たわる。
「・・・悪かったな、間に合わなくて。」
予想は、していたからなのか。
ずっと前に聞かされていたからなのか。
それとも、やはり覚悟というものが出来ていたとでも言うのだろうか。
俺は、自分で思っていたよりずっと冷静だった。
静かにゆっくりとに近づき、冷たいの頬に触れた。
ずっと、思っていたより。
は、細くなっていた。
「・・・・・・・・なぁ、卒業式。一緒にでるんじゃなかったのかよ。」
思っていたより、俺は冷静で。
ゆっくりと鼓動がなっていた。
そう。
今にも、止まってしまいそうなほど。
の髪を指に絡め、その顔に近づく。
「・・・。」
呼んだら、起きてくれそうな気さえした。
呼んだら、笑ってくれそうな気さえした。
「・・・・。宿題、わかったか?・・・今日までだって言ったろ?」
Ich liebe dich
ドイツ語で
「‘愛してる’だよ。」
名前を呼べば、起きてくれそうな気さえした。
それくらい、綺麗な顔では横たわっていた。
「・・・・・・・・・・」
の髪を指に絡ませて、の冷たい頬をなぞり。
唇を重ねた。
もう、微笑んでくれない口元。俺を呼ばない口元。
「・・・・・・・」
伝えたかったんだ。
お前に解いて欲しかった言葉。
伝えたかったんだ。
わかったとき、きっと、
きっと、笑ってくれたはずだから。
なぁ、。
宿題はわかったか?
なぁ、なんで俺は
こんなに冷静でいられる?
「」
の手を、握り締めようとした俺。
その手に、握りしめられていたものに気付いた。
しっかりと握られていたその手を、ゆっくりと開いた。
<かさっ>
破れた、ノートの切れ端。
「(!!)っ・・・・・」
破れた、ノートの切れ端。
の文字で。綺麗な文字で。
それは。
‘愛してる’
宿題の答え。
わかって、ここにが記したのだろう宿題の答え。
そのはずなのに。
が残してくれた言葉だから。
お前自身が、言ってくれている気がした。
「っ・・・・・・」
目の前が突然にじんで、かすんだ。
わかっていても、知っていても、
哀しみはなくならない。
冷静なんかでいられるわけがない。
覚悟なんか、出来てなかった。
「っ・・・・・・・・・・・・・・・っ・・・・・・・・・」
最後に、その目に映りたかった。
最後にもう一度、笑って欲しかった。
間に合わなくて、悪かった。
何度も何度も呼んで、
その場に崩れ、立ち膝のまま、の手を握り締めた。
伝えたくて。
に解いて欲しかった言葉。
は正解を知っていた。
伝えたかったんだ。
涙が、止まらない。
哀しい。
辛い。
苦しい。
愛おしいだけのに。
お前が好きなだけなのに。
好きな、だけなのに。
もう一度、名前を呼んで欲しかった。
なぁ、伝えたかったんだ。
伝えたかった。
お前に解いて欲しかった言葉。
伝えたかったんだ。
わかったとき、きっと、
きっと、笑ってくれたはずだから。
なぁ、。
お前に、届いたんだよな。
この言葉だけを胸に刻んで、
今は、も答えを知っているから。
だから、に届くよう
冷たいその手を強く握り締めて、声にした。
小さくはっきりと、声にした。
「・・・・Ich liebe dich」
end.