「ふーん。ってマジで仁王が好きなんだな。」
「・・・・・うん。愛してる。」
昼休み。
のクラスにを迎えに行くと
いつも同じクラスの丸井と話をしているを見つける。
(・・・愛してる・・・・か)
『言えない言葉の解法』
「。」
「あっじゃあね、ブン太」
「おう。」
俺を見つけるとすぐ俺のところまで駆け寄ってくる。
「今日はどこに行こっか?」
「・・・そうじゃな。天気がいいから屋上でも行くかの」
の手には弁用箱が二つ。
一つはもちろんので。
もう一つはが俺に作ってきてくれるもの。
「晴れだー!」
「うん」
「青い。」
「屋上でよか?」
「うん!」
屋上に出るとが背伸びをする。
腕を空へと伸す。
(愛してる・・・か)
「雅治。食べようよ」
「今日は何が自信作?」
「卵焼き!」
屋上の床に2人で並んで座って
の作ってきた弁当を開けて。
そして俺はこの間に機嫌を直さなければならない。
「・・・どう?」
「おいしいとよ、卵焼き」
昼休み。
のクラスにを迎えに行くと
いつも同じクラスの丸井と話をしているを見つける。
その光景は正直言って、腹が立つ。
(愛してる・・・か)
「・・・・・」
「雅治?」
なんで丸井に言うと?
俺に直接言ってくれんの。
(愛してる)
思っていても一度も口に出来ないでいる言葉。
‘好き’なら言える。
それでも好きじゃなくて愛してるって言いたくなる時がある。
「雅治、おいしくない?」
「おいしいとよ。」
俺の手ははしを動かすのをやめていた。
機嫌が直らない。
「・・・無理して食べなくてもいいよ?」
「違う。」
「・・・・」
「おいしくないとか、そういうんじゃなか。」
(愛してる)
なんで丸井に言うと?
俺に直接言ってくれんの。
「なぁ、」
が作ってきてくれた弁当を床に置く。
の手にあった弁当箱も俺が手にとって床に置かせた。
の手を握って顔を近づけて。
「俺から離れない覚悟がある?俺から離れない自信がある?」
「え?」
「あるなら、俺以外の男としゃべらんようにして。」
無理だ。
そんなこと分かっている。
「いいよ」
は俺と目を合わせて言う。
の手を握る力が自然と強くなる。
「できっこなか。」
「でも雅治はそうして欲しいんでしょ?」
「・・・・無理じゃ。」
意地悪がしたくなった。
不公平じゃなか?
いつの間にかこんなに好きになって
俺だけがこんなに好きになって。
「自己嫌悪じゃ。」
「雅治・・・」
こんな自分が嫌になる。
まっすぐに気持ちを表す術を知らない自分が。
今度はの手が俺の手を強く握り返してきた。
思っていても一度も口に出来ないでいる言葉。
(愛してる)
‘好き’なら言える。
それでも好きじゃなくて愛してるって言いたくなる時があるのはなぜ?
「雅治が望むなら、あたしはそれをできるだけしたいよ」
「・・・・」
「あたしが雅治以外の男子としゃべらなければいい?」
「・・・違う。」
(愛してる)
なんで丸井に言うと?
俺に直接言ってくれんの。
言って。
「愛してるって俺に直接言って。」
「(!!)・・・聞いてたの?」
「なんで丸井に言うと?俺には言ってくれんの?」
は顔を赤くする。
「・・・・・」
「。」
言って。
が言ったら俺も言える気がする。
そんな都合のいい思いを胸に沈めて。
「愛してる。」
思っていても一度も口に出来ないでいる言葉。
(愛してる)
‘好き’なら言える。
それでも好きじゃなくて愛してるって言いたくなる時がある。
「・・・。」
「・・・ん?」
「卵焼きおいしかったとよ。」
「本当?」
赤くなって顔を下げていたが再び顔を上げる。
その瞬間に俺はにキスをした。
「まさはっ・・・」
「卵焼きの味じゃ。」
の顔がますます赤くなる。
「。」
もう一度にキスを送って。
「愛してる」
誰か、分かるなら教えて欲しい。
思っていても口に出来ないでいる言葉。
(愛してる)
‘好き’なら言える。
それでも好きじゃなくて愛してるって言いたくなる時があるのは、なぜ?
end.