あいつの何かが変わる。



少しずつ少しずつ





・・・髪、切ったのか?」


「あっうん!わかる?前髪ちょっとだけ」





ほんの少しの変化でも



気付くとうれしそうにするのは



女ってやつのサガなのか
































『Tthink』























昨日は香水の香りがし始めて



一昨日からは化粧






「なんや、お前と付き合うようになってちゃん変わったなぁ。前はもっと純朴な感じやったやん」


「・・・よくわからないがな」


「それでも跡部は気付くんやろ?ちゃんのちょっとの変化」






部活中忍足が話しかけてきた。






「・・・走らせるぞ、忍足」


「ひどいなぁ。ちゃんきっと一生懸命なんやで?綺麗になりたくて」






よくわからない。



ただ



女のサガってやつなのか



ほんの少しの変化でも



気付くとうれしそうにするから














(だから気付けば口にするだけで)



















































































「景吾、景吾。染めてみたの。ちょっとだけ」


「・・・ああ、すぐ気付いた」






の髪を少しだけすくう






「綺麗じゃねぇか」


「本当?!」


「ああ」






昼休みの生徒会室は



が必ず俺を見つけにやってくる。



の髪は前までは飾り気のない黒だったのに、



今は茶色。



光に差されればその色は透明度を増した。






「・・・・・・」






うれしそうな



すくうの髪はこの手から少しづつ滑り落ちていく。






















ちゃんきっと一生懸命なんやで?綺麗になりたくて’
























の髪が手から全て逃げていった。



前は香水の匂いなど感じない。



化粧などしなくても、十分な整った顔。






「・・・・お前、最近どうしたんだよ?」


「何が?」


「香水つけたり、化粧し始めたり。今度は髪を染めた。」






綺麗になりたいと言うなら



お前は前のままでも十分綺麗だったぜ?



生徒会室で向かい合って座る俺と







「あたしはただ・・・綺麗になろうと思っただけだよ?」


「・・・・・・」


「景吾・・・あんまり好きじゃない?この香水もお化粧も髪の色も・・・・」


「・・・・・」






よくわからない。



ただ



女のサガってやつなのか



ほんの少しの変化でも



気付くとうれしそうにするから












「俺は別に・・・・」


「景吾が嫌いなら全部変えるよ」


「・・・・・は綺麗になりたくてやってるんじゃねぇのかよ。俺に聞いてどうする。」










忍足が言ったように純朴だった



飾らなくても、綺麗だった。



ただ俺と付き合うようになってから毎日少しずつお前は変わっていったから。












「あたしが綺麗になりたいのは景吾にそう思ってほしいからだもん。景吾が嫌なら、やめる。」













ちゃんきっと一生懸命なんやで?綺麗になりたくて’












































俺の為?



俺は純朴なお前を本当に



心から綺麗だと思っていた。



飾らないお前が、綺麗だと。












「・・・・景吾にあたしのこと、好きでいてほしいもん。」










変わりやすい人の心が



お前を不安にさせるのか。


























「・・・・俺は」


























俺と付き合うようになってから毎日少しずつお前は変わっていったから



綺麗になろうとするは、綺麗だった。









ただ



女のサガってやつなのか



ほんの少しの変化でも



気付くとうれしそうにするから












(気付けば口にした)












































「俺は、どんなお前でもいい。」


「・・・・・・・・・」

































































誰もお前の代わりにはなれないから。
















































変わりやすい人の心が



お前を不安にさせるのか。



お前は十分俺を好きにさせているのに。

















「お前のまま俺の側にいればいい」














綺麗になろうとするは綺麗だった。



純朴なも綺麗だった。



姿を変えても、香りを変えても、お前がであることにかわりはないから。













「だから、が好きな格好で髪型でいい。俺はそれが好きなんだよ。」


「景吾・・・・。」


「綺麗なんだよ。ならなんでも。」












昼休みの生徒会室。



自然と唇が重なったのは、お前が俺を十分好きにさせているから。



お前が綺麗になろうとするのは俺の為で。








どんな姿でもであることにかわりはないから。



俺は、

















































お前のまま俺の側にいればいいと、





そう思うだけ。



























end.