瞼を閉じているとき、
許されることを知ってる?
瞼を閉じているそのときは
嫌なこと忘れていいんだよ。
『風を唄う』
木も葉っぱも揺れて、俺は空を見てたんだ。
中庭の、芝生の上に寝そべって。
「ジローちゃん?」
「あ、。」
俺の顔を覗き込む、
俺の好きな女の子。
「珍しいね、起きてる。」
笑った君がまぶしくて、
俺は目を細めた。
「もだC−。樺地じゃなくて、が来た。」
俺の隣に腰を下ろした。
俺は寝そべったままでに顔を向けた。
「ジローちゃん?」
「・・・寝たりない。・・・眠れない。」
「え?」
最近ね、不安なんだ。
目をつぶっていても
嫌なことを忘れることは
許されない気がして。
(嫌なことっていても、跡部に怒られたとかだけど)
「眠くないの?」
小首をかしげた。
・・・いいこと思いついた俺。
「も一緒に寝よー!!」
「きゃっ・・・」
君の腰元に飛びついて押し倒す。
「っ・・・ジローちゃん・・・」
「・・・ごめんね、。」
「え?」
君の腰に抱きついて一緒に倒れこんだ。
俺はまだ顔を上げてない。
君の顔は見てないけれど、
きっと赤いんだろな。
「ごめんね、」
「ジローちゃん?」
勝手だね。
たとえどんなにみんなが、
俺が目を閉じることを、
嫌なこと忘れることを
許してくれなくても。
きっと君だけは、許してくれると思ったんだ。
「いっ・・一緒に寝よっ・・・・・か。」
「!!」
君の顔は見てないけれど、
きっと真っ赤なんだろな。
「うん。」
君が許してくれたら、俺はそれだけでいいって
そう思ったんだよ。
吹いた一陣の風。
木も葉っぱも優しく揺れてる。
(・・・眠い。)
end.