勢いってか、
背中を押して欲しかったっていうか。
「丸井先輩、俺死ぬ」
「まだやってたのかよ、お前ら。」
『希求の眩暈』
賭けをしたんです。
「、本当に食ってねえの?」
「食べてません」
「…嘘だ。」
「彼女を疑うの?赤也。」
一週間前のこと。
場所は俺の家、俺の部屋。
「あのさ、」
「ん?」
正直に言うと
俺はマジでにはまってて
キスをすることはあっても
それ以上進めなかった。
「赤也?どうしたの。」
を大切にしてるつもりだったから。
でも、
「賭けしねえ?」
「賭け?何、いきなり」
正直に言うと
早く手に入れたくて
仕方なかった。
「いいじゃん。負けたほうが勝ったほうの言うこと一つ絶対聞く。どう?」
「…いいよ。おもしろそう」
でもやっぱり、大切に思ってたから、
勢いが欲しかったってか
背中を押してくれるきっかけみたいなもんが欲しかったんだ。
「じゃあ、はお菓子禁止な。食べたら負け」
「えー!!」
は丸井先輩並の無類のお菓子好き。
俺はこの賭けに勝つ自信があった。
の提示を聞くまで。
「じゃあ赤也はあたしに触っちゃダメね。触ったら赤也の負け。」
おいおいおいおいおいおい。
さすが。
よく俺のこと分かってんじゃん・・・。
「どう?」
賭けをフったのは俺。
「…わかった」
あれから一週間。
「お前お菓子大好きじゃなかったっけ?」
「正直辛いけど、負けられないの」
「なんで?」
「お願い、聞いてくれるんでしょ?」
「なんだよ、お願いって」
「勝ったら言う」
勝つ気だよ
俺の彼女。
(マジつれー…)
隣を歩く今でさえ
思わずその手を握ろうとする俺。
髪とか、頬とか。
見れば見るほど
(まじキスしたいんですけど)
「赤也?大丈夫?」
「ダメ。」
顔を両手で覆って下を向いていた俺をが心配した。
「気分でも悪い?」
「機嫌が悪い。」
「…ん?」
なんだよ、のお願いって。
(…別れてとかだったらどうするよ)
そんなことは絶対しない。
お願いでも。
ってかさ…
「あー限界!!!!!」
「あっ赤也!?」
にキスをする。
息もできないくらいに。
「あかっ…息できな…」
「じゃあするな。」
ずっとずっと。
帰り道の公道だろうと
関係ない。
俺よく一週間も絶えたよ。
えらいって。
唇を離せば真っ赤な。
「っ…はあ、…赤也…」
「言っとくけど別れないからな」
「…は?」
息のあがった。
「…そんなことお願いでもしない。」
「…そんなお願いはしないよ」
ちょっと安心。
結局俺の野望…望みは絶たれたわけだけど
でもじゃあ。
「何だよ、のお願いって」
「…笑わないでね」
俺の耳元で
小さい声でが言ったお願い。
「ずっと私の側にいて、ずっと私を好きでいて」
…なんなんだ。
俺の彼女。
これ以上お前のこと好きにさせて
俺を殺すつもり?
「…俺、そのつもりだったけど」
「ははっ言ったら予想以上に恥ずかしかった」
「その為にお菓子我慢しきったのかよ」
「あっお菓子解禁!!やった!!!」
なんだ、こいつ。
こんなにかわいかったっけ。
「決めた。」
「何を?」
「俺もう容赦しないから」
「…ん?」
我慢なんかしません。
できません。
だってこんなに好きですもん。
「覚悟しろよ、」
俺の背中を押したのは
お前の言葉。
こんなに好きにさせたお前が悪い、。
end.