丸井ブン太





本日15歳になります。





朝早く来たつもりだった学校の校門に立ち尽くす俺










「・・・嘘だろぃ」


「「「「「丸井くーん!!!」」」」」









・・・見つかった。

























『君が生まれた日』



























回りは風だ。



風景はビデオの早送り



俺は走る





「「「「「丸井くーん!!誕生日おめでっ・・・・」」」」」


「言うんじゃねぇよ!!!!」





キャッキャッと騒ぐ女子達が後ろからものすごい勢いで追いかけてきても



俺は走る






(まだ誰からも聞きたくねぇんだよ)






走っていてもまだ俺の呼吸は乱れない



深く息を吸い込んだ。












ー!!!!!」











回りは風だ。



風景はビデオの早送り



一つの教室の前で



俺は床から煙が上らんばかりの急ブレーキ





「ブン太!」


「早くしろぃ!奴等が来る!!」


「奴等?」





俺がを迎えに行くラストスパートで



一気に女子達から距離を離していた俺。



天才的ぃ。



と朝早くに待ちあわせていたここの教室



想定外だったのは朝早くにいた女子達





「いた!丸井くーん!!」


「げっ!!」










・・・見つかった










!!行くぜぃ!!」


「えっ?・・・きゃっ」






教室の中にいたのところまで行って



その手を掴んで



もう一度廊下に出た





「「「「「「丸井くーん!誕生日おめでっ・・・」」」」」」


「だから言うなって!!」





迫って来た女子達



それぞれの手にある色鮮やかな包みの色が目についた








「ブン太!!」







俺は走る


の手を引っ張って。


と一緒に。


上履きのまま二人で外へでた。





(・・・あっ)





横目に見えたテニスコートでは朝練








(ごめん。サンキューな)







俺が朝練を休むのを承諾してくれたレギュラーの面々






「その変わり放課後は丸井にスパルタじゃ」


「誕生日プレゼントだな。」






仁王と柳の声を背中に受けて苦笑い



今日の放課後はきっと相当しんどい。



でも、













今は。





























の手を握り締めて



体育館裏に2人で駆け込んだ





「はぁっはぁっ・・・・」


「(!)悪ぃ!。かなり走らせたな・・・(しかも俺全速力。)」






息切れが止まらないは肩で息をして



しゃがみこんだ






「大丈夫かよ?」


「はぁっ・・・ん・・・大丈夫じゃ・・ないみたい」


「え?」






しゃがむ



それと



地面に置かれた



小さな開かれた袋



袋の中の開かれた箱






「・・・それ持って走ってたのか?!」


「・・・・くずれちゃった」






箱の中は白いデコレーションの小さなワンホールのケーキ






「うっそ・・・それ、作ったんだよな・・・。ごめんな、


「・・・・」






だいぶ呼吸が落ち着いたはしゃがんだまま箱の中を見ていた



走るのに夢中で気付かなかった



俺がの手を離さないようにしていたように



も小さな袋を離さないように必死だったのかよ






「・・・






白いデコレーションのケーキにはいちごが乗っていたらしい



いちごは散乱し、ケーキの上に乗っていないものもある



きっとケーキを綺麗に飾り付けていた生クリームはぐちゃぐちゃになっていた





「ごめんな、。お前がケーキ持ってんの気付いてなくて・・・」


「・・・・」


「・・・・・・・・・早くに言って欲しかったんだ」




























今日と言う日につきもののその言葉



今日の0:00を3秒くらいすぎてなった電話はからで






『ブン太?誕生日おめでっ・・・』


「あーまだ言うな!。」







祝ってくれるなら



俺が生まれた日を喜んでくれるなら
























「直接言って。今日、朝一で」





















が言ってくれるまでは


誰からもその言葉は完全拒否



言ってくれるなら一番はがよかった



一番にに言って欲しかった。























おめでとうって。
































「・・・





の隣一緒にしゃがんだ





「・・・うまくできたんだよ。味見もしたの」


「うん、早く食いたい」





散乱したいちご



ぐちゃぐちゃの生クリーム






「うまそうじゃん」


「嫌味?」


「んなわけねぇだろぃ」






の手を掴んで



紙袋を持って



一緒に立ち上がった。













「ごめん、。」


「・・・・ブン太がおいしそうって言ってくれるんならいいよ。うまく、できたからね!」


「このまま俺の家行かね?」


「え?」


「一緒にケーキ食おうぜぃ」







が笑ってうなずいた。







「いいよ。」


「あっでも俺放課後は戻ってこないと。スパルタが待ってる。」


「スパルタ?」


「スパルタ。」







仁王と柳の言葉を思い出す。




























「誕生日プレゼント。だってよ。」


























そうだよ、俺は今日生まれたんだ。



15回目の俺の誕生日。







「・・・。」


「ん?」


「まだ言ってもらってねぇぜぃ?」







祝ってくれるなら



俺が生まれた日を喜んでくれるなら



一番に、



から聞かせて。



周りは風。



風景はビデオの早送り



の手を引っ張って必死になって走ったのは



誰かからじゃない



からのその言葉が一番に聞きたかったから。
















































「誕生日おめでとう、ブン太。」























































今日と言う日につきもののありきたりな言葉かも知れないけど、



うれしいじゃんか。



好きな奴が祝ってくれるんだぜ?



俺が生まれてきたこと。



おめでとうって。







「よしっ俺の家行くか!」


「あっブン太。これ以上ケーキ振らないでね。」


「・・・・了解」







とりあえず放課後のスパルタを忘れておく。



が作ってくれたうまそうなケーキにも祝ってもらって









今は、





俺が生まれてきてに会えた幸せを





この日に
























































































かみ締める。









































end.