それはさながら災難。





巻き込まれてはどこへ行けましょう。














『君にて輪禍』














放課後の帰り道。



2人でいつもの道をたどる。





「無理」



「何でやねん。」



「恥ずかしい」



「恥ずかしいことなんてあらへんやん。!!昨日あんなことしといてもう恥ずかしいことなんて・・・・・」





睨む。



あたしの精一杯で。






(確かに昨日はあなたの家に泊まりましたけど)





「・・・堪忍。せやけど俺、の気持ち聞いたことないねんもん。」



「侑士はどうしてそんなに簡単に言えるの?」



が好きやから。」





















ほら、まただ。


























侑士が今朝からしつこい。



“俺に好きって言われたことない”

















・・・・確かにない。



付き合ってって言われた時も



いいよって言っただけ。






「なあ、。」






侑士はいつも



愛してるとか好きだとか



言ってくれるけど、











「・・・・だって、怖いよ。」



「え?」













「口に出したらあせちゃうかもしれない」
















気持ちって



見えないものでしょう?



だから、怖い。





あたしは侑士が好きだから



この想いがあせて欲しくなんかない。













「あせへんよ。」



「・・・」



「こんなに好きやもん。俺はどんなに言ってもあせてへんし。」



「・・・こんなにが分からないよ。見えないもん。」



「言葉にしても足りないねん。・・・はあせてしまうくらいの想いなん?」








ほらまた。



いつもそう。










「俺のこと好きやないの?」









あたし、





あなたとの歯車、噛み合わないから。





いつも巻き込まれて、





壊れる。
















「・・・・好きだもん。大好きだもん・・・好きすぎてどうしていいかわからない。」














あたしは、いつの間にか泣いていた。



(情けない。)














「・・・あせた?」



「あせないよ。」



「今俺、めっちゃうれしい。」









侑士があたしを抱きしめる。






















いつも、いつも。





ひかれて、惹かれて、轢かれて、魅かれて。


















だから、



あせることのないこの想いを、



あなたに。






















「・・・大好き。」

























それはさながら災難。






巻き込まれてはどこへ行けましょう。












輪禍:自動車、電車など車輪によって起こる災い。












end.