恋とは勘違いから生まれるものである。





って





どっかの偉い人が言ってた。





って





仁王先輩が言ってた気がする。




































『恋とは勘違いから生まれるものである』





































「「「「「「丸井くーん!!!」」」」」



「「「「「「「仁王くん、こっち向いてー!!」」」」」」」






慣れってすごい。



初めは耳が痛くなってた高すぎる声の群れ。



今は耳を塞がなくてもテニス部の朝練ができる。



今年のレギュラーの声援は去年の2.1倍うるさいって柳先輩が言ってた。



そりゃしょうがない。



なんてったってかっこいい。






「「「「「「「赤也ー!!!!」」」」」」」



「はーい。」



「「「「かっこいいー!!」」」」





俺とかね。



テニスコートを一周見渡すだけで確認できる人気ぶり。



俺たちテニス部。





「「「「「「「「きゃー!!!」」」」」」」」


「(・・・うるせえな)」





慣れることがあれば、慣れないこともあるのが自然だ。



これは俺が言った。



どいつもこいつも勘違い。



集まるギャラリー。かっこいいとかキャーとか。



そんなの言わなくたってわかるって。



誰と目があったとか、誰かが手を振ってくれたとか。



そんなのみんな勘違い。



ちょっとあいさつを交わすだけ。ちょっとプレゼント受け取っただけ。



それだけで、みんな勘違いするらしい。



みんな恋とやらに落ちるらしい。





「(・・・って言ったのは柳生先輩だっけ?・・・紳士的に。)」





朝から毎日のように繰り返すハードな練習。



俺はちょっと真っ青な空を仰いだフリして、校舎のほうを見た。



・ ・・・・今日もいた。



そこは二階に位置する俺のクラス。



その窓から毎朝あいつはテニスコートを見てる。






「(・・・・・・・・あ。)」






そして、あいつは、俺と目があうと。



決まって俺に手を振ってくるのだ。



俺はそれをスルーする。



手なんか振り替えしてたら、真田副部長のボールが、俺を殺す。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





ちらっとまた空を仰ぐフリ。



・ ・・・・そいつもまた、勘違いを続ける一人だった。












































































































































「赤也!今日も無視したでしょ?せっかく手振ってあげたのに。」


「・・・知らねえよ。」


「嘘だー。目合ったでしょ!」


「あってませーん。勘違い女。」


「あいましたー。そんな視力悪かったらもうじきレギュラー落ち決定だね。」


「あ?俺を誰だと思ってんだよ。」


「・・・・・噂のエース。切原バカ也。」


「・・・・・・・・・・・・・・・」





一年の頃からクラスが一緒。



名前は



いつも俺と目が合うと必ずと言っていいほど話しかけてくる。



あとは、そうだな。





「・・・赤也反論しないの?」


「・・・俺は大人なんだよ。」


「わかった!できないんだ!!本当だから!!」


「違え!!」


「あははっ・・・・・」





よく笑う。





「・・・・・・・・・・・・・・・・」





こいつが俺のことが好きなのはわかってる。



わかりきってる。



わかりやすいんだよ。



目が合えば手振ってきたり。



話しかけたり。








「・・・おい、。」


「ん?なに?」







俺がちょっと話しかければ嬉しそうにしたりするんだ。






「お前寝癖ついてるぞ。」


「えっ・・・嘘?!」


「・・・・嘘だろ。」


「・・・・・赤也?」


「バーカ。」


「・・・むかつくー。」






お前の勘違いはいつから始まったのか。



俺は言っとくけどお前のこと好きじゃない。



気が合うクラスメイト。それだけだ。



だから、毎日ふざけて、笑って。



・ ・・・ああ、そっか。



だからか。





「あれ?今日赤也、英語の授業あたるね。」


「は?今日英語なんてあったか?!」


「・・・ないでしょ。」


「・・・・・・・・・」


「・・・・バカ也。」





だから勘違いされてんだよな。



毎日話したりするから。



毎日笑い会ったりするから。






「てめー・・・・。俺なめてると痛い目にあうぜ?」


「あははっ・・・怖くないー。」


「っ・・・!!」






は、よく笑う。



勘違いを続ける



言っとくけど俺お前のこと好きじゃない。



気が合うのは知ってるクラスメイトだ。



なのに勘違い。勘違い。



どいつもこいつも何やってんの。







お前も何やってんの。








「・・・・・・・・・・・」







何やってんのって思った授業中。



教師のくだらない話に勘違い女は笑ってた。






































































































































































































































































































ある日。急遽自習になった2時間目の数学の授業。



課題のプリントが3枚。



やって出せって簡単な指令つき。



教師がいない教室で、クラスメイトは半分がバカ騒ぎだ。



俺は一番後ろの席で、この時間は寝るしかないだろうと決め込んだ。





(・・・・・・・あ。)





は一番前の席。



突然振り返ったかと思うと、目が合った。



が自分の席を立ち上がり、俺の席までやってくる。



・・・・だから、勘違いだって。



なにやってんの、単なるクラスメイト。



教室内は、普通にクラスメイトが自分の席を移動して騒いでいたので



の行動は不自然じゃなかった。



が俺の目の前で、与えられた課題のプリントをちらつかせる。






「赤也。これできそう?」


「見てねえよ。俺は寝る。」


「寝ていいと思ってんの?エースでしょ!」


「テニスと数学は関係ねえよ。」


「・・・じゃあ赤也が授業中に寝てましたって柳先輩に言いつけちゃうから。」


「は?柳先輩?」






突然出された聞き知った名前。



俺の前の席の奴は、席を立ち、仲のいいクラスメイトのところにいっていた。



空いたその席のイスをが引いて座る。



は俺の机のほうに、席を抜けると、



持ってきていたシャーペンと課題のプリントを俺の机の上でやりだす。





「・・・・おい、俺が寝れねえだろ。」


「寝ないで課題やれば?」


「・・・真面目すぎだろお前。」


「バカすぎでしょ、バカ也。」


「・・・・・・・・・・・・・・だいたい、柳先輩と話したこともねえくせに。」





俺は席の背もたれに思いっきり背中をあずけてあきれる。



が動かし始めていた手を止め



プリントに落としていた視線をあげた。





「話したことあるよ!柳先輩いい人だし。」


「はいはい。」


「・・・・信じてないでしょ?」


「・・・どこで寝るかな。」


「ちょっと!赤也!!」





がすね始める。



っていうか想像つかない。



俺と気が合うくらいよく話すだ。



どっちかっつーと大人しい感じの人が似合うだろう柳先輩とが話している姿。



・ ・・・大体何を話すんだ。



接点ねえじゃん。



が俺を睨みつけていた。



俺は頬杖ついて、の無視を決め込む。





「うわっ最悪だ、赤也。」


「・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・いいもん。あたしも赤也なんか無視するから。」





俺はその声にちょっと驚く。



相変わらず騒がしい教室。



再び手を動かして課題を進め始めた



他に課題を真面目にやってるのは・・・・クラスで2桁もいないと思うけど。



俺を無視だと言っておいて、は自分の席に戻ろうとしない。





(・・・・へぇ、無視ね。)





無視、ね。



の視線は下。課題のプリント。



俺の口元はかすかに笑み、を見る。



真面目。とか思いつつ。



・・・無視ね。











できるもんならやってみろよ。











「・・・・・・・・・・・おい、。」


「・・・・・・・・・・・・」


「なぁ。これどうやって解くの?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・ー!」







俺のことが、好きなくせに。



そんなの。







「・・・・・・お。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」






が無言のまま顔をあげて、



なんとも疑わしげに俺を見る。



俺はがこなしていく課題のプリントに自分のプリントをだし、指差す。






「これこれ。わかんねえんだけど。」


「・・・・・・・・・・・・・」


「なあ、。教えてよ。」






が視線を俺の指差した問題へ。



じーっと見てる。



俺は俺でを見てる。





(できるもんならやってみろよ。)





俺のことが、好きなくせに。






「・・・・・ー。」


「こっ・・・・・これはっ・・・」


「あれ?俺のことは無視じゃなかったっけ?」


「(!)あっ赤也がっ・・・・・・」







ふいにあげられた顔を俺は覗き込んだ。



からかうつもり十分に、できるだけ顔を近づけて。



の頬がみるみる赤く染まっていく。



俺はふっと口角を上げて笑った。








「俺が、何?」








無視なんかできもしないくせに。



俺のことが好きなくせに。



・ ・・・ああ。でもあれか。



こんなことしたらまた勘違いされるだけなのか。






「・・・・・バーカ也。」


「・・・・うっわ赤いよ、こいつ。何?そんなに俺かっこいい?」


「鏡見てからいいなさいよ。」


「・・・・・お前もな。自分の赤さ、見てきたら?」






この時間は完全に俺の勝ちだった。



赤くなってうつむいた



だからばれるだろ。どこまでわかりやすいんだ。



結局この時間中にの課題は終わらない。



初めて見たのは、赤くなった頬。



あんな顔もするんだとか。



少しだけかわいいと思ったとか。



・ ・・・気のせいだ。



俺はお前のこと好きじゃないし、



が勘違いしてるだけ。






































































































































































































昼休み。今日は学食を決め込んで。



授業が終わって急いで向かう。



その速さだけあって、一番いい奥の席。



一番人気のメニューが楽々と食えた。



あまりに早く終わった飯の時間。



さて、残った昼休み何をしようかと思って。



思い立ったのは、ブン太さんか、仁王先輩のところに遊びに行こうって。



あの2人の先輩は話してるだけでおもしろい。



からかわれないように要注意。



・ ・・・ジャッカル先輩のところにいって、からかってくるのも楽しそうだ。



3年の教室が並ぶ教室棟。



階段を上りきれば、すぐそこにブン太さんのクラスの教室がある。



ブン太さんが俺を見て開口一番、何を言うかとか考えながら、



階段の踊り場までたどり着いたときだった。











「・・・・・・・・・・・・・え?」











つぶやいたように、すぐにその空間に吸い込まれていった声。



階段の踊り場の位置から見えた廊下に人影が二つ。










と、柳先輩だった。











「・・・・・・・・・・・・・」





足がその場に止まってしまい、



しばらく見ていると、が一生懸命柳先輩に話しているようだった。



ただでさえ注目をあびがちなテニス部。



誰かとレギュラーが話していれば、それだけで注目の的だ。



廊下には女子生徒の先輩も結構いたから、



に突き刺さる視線は相当なものだと思うが。




(・・・・・なんだあれ。)




柳先輩が微笑む。



それも見たことのないような柔和なもの。



さらに、が頬を赤く染める。



それは、今日初めて俺が見たもの。



・ ・・・なんだ、あれ。



あいつの勘違いは柳先輩にまであるというのか。



がよく笑うのは知っているが。






(・・・・・・・・・なんだあれ。)






あんなに楽しそうに笑うって。



・ ・・・・あいつは俺のことが好きなんだよな。



・ ・・・・・・・・・・・わかりやすいから。



わかってた。



勘違いされて、目が合えば必ず俺のところに来て。



俺がちょっとでも話しかければうれしそうにするし。



・ ・・・あれ?



は俺のこと、好きなんだよな?



柳先輩と話しているの頬が、さらに赤くなった気がする。



俺の足は方向転換。



階段を降り始める。



・ ・・・なんだよ。





(なんだよ、あいつ。)





俺のことが好きじゃなかったのかよ。



これじゃあまるで。



















































































































































































































































































俺が勘違いしてたみたいじゃないか。




































































































































































































































































































「・・・・・・・・・・・・・・」





・ ・・いや。



いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや。



俺は好きじゃない。



好きじゃねえよ。





「(好きなもんか。)」





後ろの席から見る一番前の席、の後姿。



昼休みが終わってすぐに教室には戻ってきた。



俺とは一度も目が合わなかった。



勘違い。



ただの勘違いだ。



別にが柳先輩を好きならそれでいい。



俺に関係ない。



・ ・・・・好きじゃない。



好きなもんか。








恋とは勘違いから生まれるものである。








って



どっかの偉い人が言ってた。



って



仁王先輩が言ってた気がする。



でも、偉い人。



そんなの間違いだ。



勘違いをしてたのは向こうだ。



だ。



ってかそう思ってたよ。



いつも俺と目が合うと必ずと言っていいほど話しかけてくる。



俺がちょっと話しかければ嬉しそうにしたりするんだ。



毎朝テニス部の練習見てて、目が合えば手を振ってくる。



・ ・・じゃあ何?



朝テニス部見てるのは俺じゃなくて柳先輩を見てたって?



・ ・・・・・・・あっそ。



違ぇよ。確かに勘違いだったかもしれないけど。



俺が、は俺のことが好きだと思ってただけかもしれないけど。



好きじゃねえよ。













































(・・・・・・・・・・・・・好きなもんか。)

























































































































































































































































勘違いから恋なんか生まれないんだ。






「あれ?赤也。まだ部活行ってなかったの?」


「・・・うるせえよ。これから行くっての。」


「・・・何?不機嫌だね。」


「・・・・・・・・・・・・別に。」






お前がややこしいからだ。



何振り回されてんだ俺。



放課後の教室。



俺は部活へ行くためにカバンにいろいろ詰め込んでいた。



そこに現れたのは、さっさと帰ったと思っていた






「・・・ってかこそ何やってたんだよ?」


「ん?ちょっと家庭科室に行ってたんだ。」


「・・・ふーん。あっそ。」


「・・・やっぱり不機嫌だよね、赤也。」






教室の一番後ろに位置した俺の席から俺は立ち上がり。



は自分の席までいくと、カバンを出して帰りの準備をし始めた。



俺に後ろ姿を向けたままの



思い出すのは毎朝。



はあの席から練習を見ているのかと。






「・・・・そういや放課後も練習見てんのか?」


「ん。そう。赤也放課後は目あわせてくれないよね。朝は合うのに。」






俺に背中を向けたまま、飄々と言ってのける



・ ・・・放課後の練習は空を仰ぐフリすらできない。



朝と比べ物にならないくらい、テニスへの集中が必要になるから



がこの教室から練習を見ているのに気付かなかった。



俺はの背中を見る。



・・・・・・・ずっと。



俺を見てるんだろうなって思ってたけど。



俺のこと好きだとか、思ってたけど。



テニスコートの周りを囲むギャラリーの女共と変わらない、勘違いを続けるこいつ。










(・・・・・・・・・・・・・・・ずっと。)









俺を見てるんだろうなって思ってたけど。










「・・・・・・・・・柳先輩見てんの?」




「・・・・え?」











突然、が俺に振り向いた。



ずっとの背中を見ていた俺。



が驚いて俺を見てるのに、俺はただの目を見返す。



・ ・・早く、部活に行かないと。



ぼんやりと思い。





「・・・・・お前さ。」





思考とはまったく違うことを口にする。





































































































































































































































































「・・・俺のこと好きじゃなかったのかよ。」





























































































































































































































































































・ ・・・・・・・・・・・・何。



何言ってんの、俺。





「赤也・・・・・?」





驚くの目を見返して。



俺の声が頭でリピートしてる。



何言ってんの、俺。



だからは俺のこと好きじゃねえんだよ。






「あー・・・・じゃあな。部活行くわ。」


「赤っ・・・・・」






自分でも驚くくらい、足早に歩き出す。



テニスバック背負って、急いで階段を下りる。



なんだそれ。



俺のこと好きじゃなかったのかって。



何聞いてるんだ、俺。



足早に進んで、俺の頭は妙にさえて、状況は冷静に把握できる。



だから、勘違いだったんだって。



そうだよ、俺の勘違い。



が俺を好きだと思ってただけだって。



俺の勘違い。



思い込み。



が俺を好きだと思ってただけだって。



俺がを。


































































好きじゃないと思い込んでただけだって。































































































・ ・・・俺、すごい勘違いじゃん。



めちゃくちゃ恥ずかしい奴。



思い出して、思わず口元を押さえた。



お前が俺のことが好きだと信じて疑わなかった。



バカだ。アホか。



ださい。



なんだその勘違い。



思い込みもいいところ。



目があって、必ず話しかけにやってくるから。



俺のところに来るから。



俺がちょっと話しかけただけでうれしそうにするから。



好きだと。
















(・・・思っちまっただろうが。)















昇降口まであと少し。



冷静だった思考に比べて、徐々にうるさくなり始めるのは心臓。



何を言ったのかと思い出し。



恥ずかしい自分を思い出し。



何言ってんの俺。



好きだったのは、






















俺のほう。




































































































































































































「まっ待って!赤也!!」


「!!」






























































































































































































































































































突然掴まれた腕。



振り向けば必死の息切れで、膝に手をついて、肩を上下させる





「なっ・・・・っ・・・」


「ちょっ・・・待っ・・・・赤っ・・・早っ・・・・・・・走っ・・・・・・・・・・い・・き・・が・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・」





・ ・・ちょっと待った。赤也早すぎる。走って話せない。息がそれどころじゃない。



ってところか。



俺の腕を掴んだまま、俺の足を止め。



呼吸を整えようと懸命の



顔をあげると、突然笑って、掴んでいた俺の腕を持ち上げ。



何かを手のひらに渡してきた。



息切れを繰り返しながら。







「はあっ・・・あっあげるっ・・・・赤也に!!」


「あげるって・・・・・・」







に握り締められた手のひら。



そっと開く。



見えた赤と白とグレイ。








「・・・・ミサンガ?」 


「つっ作ったの!部活がんばってね!!」


「作ったってお前、これ?」


「柳先輩に赤也の好きな色聞いたりして大変だった!」


「・・・・・・・・柳先輩?」








って、お前。



手のひらにあるミサンガ。色合いはシンプルで。



しっかりと編まれていた。



俺はを見れば、が赤くなってうつむく。






「タオルも考えたんだけど。そんなのいっぱい他の子に貰ってるんじゃないかって。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・」


「ほら、赤也いつも部活がんばってるでしょ!なっ何か、あげたくて・・・・・。」






・ ・・・・・・・・・・・ずっと。



俺を見てるんだと思ってた。



ってか。



俺のこと、見てた。



俺もお前のことを見てた。



いつも。



だから目が合う。



手のひらのミサンガを握り締め。





「・・・・・・・・・・・。お前、」





うつむくを見据え。












































































































































































































































「俺のこと好きなのかよ。」














































































































































































































































































が笑い。



俺の心臓は止まりそうなくらい、鼓動を早め。





































「大好きだよ。」








































そうすんなりと言いのける。



まんまとに、はめられた。




(違う、俺がはまった。)




・ ・・・・・すごいな、偉い人。






。」


「ん?」


「・・・・・・・・お前が結んで。ミサンガ。」


「・・・・・・え?」


「手首はパワーリストがあるから、足首でもいい?」






勘違いだと思ってた。



勘違いでもあった。



俺がその場にしゃがむと、がとまどいながら続いてしゃがむ。



俺の足首に、がミサンガを結び。







「・・・・・・・・・すげーな、さすが偉い人。」



「え?」



「・・・いい。お前は黙ってろ。」







そう言ってしゃがんだまま、俺はの口を塞いだ。




部活には、当然のように遅れることになり。













仁王先輩が言ってた。








昔の偉い人は言った。








恋とは勘違いから生まれるものである。








って。








まったくその通りで驚いたりしてる俺。



勘違いじゃない勘違いをして。



勘違いの勘違いをして。


















































































































































恋に、落ちた。

























































end.