朝起きると
お前が隣にいなかった。
『木漏れ日の教え』
「?」
俺の部屋。
同じベッドに二人で寝ていた。
昨日の夜は確かにの暖かさを感じて眠りにおちた。
「、どこだ?」
見渡す広い部屋。
俺の部屋からベランダに続く一つのガラスのドアが開いていた。
風にゆれるカーテン。
開いたドアの前の床に座りこむを見つける。
「、どうした?」
俺はベッドから立ち上がってのところへ向かった。
白いワンピースを着た。
「。」
床に座り込むを後ろから腕をまわして抱き締めた。
俺の呼び掛けに返事はない。
カーテンが風に吹かれて
俺とを包むようにゆれる。
「・・・。」
どうした?
何か言ってほしい。
朝起きて、お前がいなくて。
見つけた白いワンピースを来た。
風にさらわれて
消えてしまうかと思った。
「景吾」
の後ろから回して抱き締めた俺の腕に
が手を触れた。
「初めてこんなに人を好きだと思ったんだ。」
昨日の夜。
この手でを抱き締めた。
は何度も言った。
好きと愛してるを俺の腕の中で繰り返した。
「俺もだ、。」
はこの腕にすがりついた。
一つになりたいと
俺を望んだ。
「俺が起きるまでは隣にいろよ。ビビるじゃねえか。」
「・・・ごめん景吾。」
が俺の腕の中で体を反転させた。
腕を俺の首に回して抱き締め返してきた。
「朝起きて景吾の寝顔見てたら幸せで泣きたくなったの。」
泣いたままでいたら景吾の枕濡らしちゃうでしょ?
抱き締めあいながらが言う。
泣いていてもいい。
枕を濡らしても、布団を濡らしてもいい。
だからこの温もりをおいて
いなくなるな。
朝の光にとまどうから。
開けたドアから差す木漏れ日が
と俺を包んだ。
暖かいと感じた木漏れ日。
けれどそれよりも暖かい温もりを俺は知っている。
「なあ、。」
「ん?」
「今日は一日中離れないで寝てようぜ?」
「・・・いいよ」
木漏れ日が降る。
朝起きればお前がいないことに
ひどく焦る俺がいた。
木漏れ日より暖かい温もりをこの手から離すことなんて
できはしない。
「・・・け・・ご」
抱き締めて
抱き締めて
木漏れ日に包まれながら
言葉にできないお前がいなかった消失感をにうったえた。
木漏れ日より暖かい温もりをおいていって勝手に消えたりするな。
お前が望むならあげてもいい。
俺のすべてを。
end.