コートは、俺の為にある。



テニスは、俺に選ばれた。







「「「「「「「氷帝っ氷帝!氷帝 氷帝!!」」」」」」」」







(もしここにお前がいたら、俺になんて言うんだろうな)






「「「「「「「「「氷帝っ氷帝!氷帝っ氷帝!!」」」」」」」」」






(きっと)





「バカヤロウ」



「「「「「「「「「氷帝 氷帝!」」」」」」」」」



「どいつもこいつも浮かれやがって」



「「「「「「「「「氷帝 氷帝!氷帝 氷帝!!」」」」」」」」」






(きっと)





パチンッ











「俺様と共に全国へついて来な!!」










(きっと、お前は。)





































『クローバー20』















































お前と言う存在を意識し始めたのは、突然じゃなかった。






「結構心配やったつもりなんやけどな」


「・・・何がだよ」


「プライドの強い跡部が開催地枠で全国へ行くことに満足してくれるか。」


「バーカ。満足してるわけねえだろ?俺が満足するのは頂点に立ったときだけだ。」


「せやろうなぁ」






部室に再び集まったレギュラー。



どいつもこいつもうざいくらいにうれしそうな顔で俺と忍足の会話を聞いてやがった。






!見てたよね!俺たち全国行くよー!!」






ジローが見つめるのは、



部室に置かれた写真立て。



そこにあるのはと俺たちが写った写真。



それから、押し花にされた四葉のクローバー。






がいたら絶対言ってたと思わねえ?」


「えー、向日!なんて?」


「ごほっえー・・・・‘全国に行こうよ。目の前に道があるのに進まないつもり?大丈夫・・・’」
































「「「「‘私がいるよ’」」」」































向日、宍戸、ジロー、鳳の声がそろった。



顔を見合わせて小さく笑うと、



俺たちは写真立てへと目を向ける。







「(きっとお前は俺にそう言ったんだろう)」







ずっと、



1人でもいいと思ってた。



人を信じることはどんな難解な問題より難しい。



だから、孤独。



それを答えに。



そう決めたこともあった。



でも俺はお前に会ったんだ。



コートは、俺の為にある。



テニスは、俺に選ばれた。



俺は、1人でも。

















お前に会って知った。
















誰かを信じること。



誰かに信じてもらうこと。






「がんばれ!景吾!次につなげて!!」







お前の声援。







お前と言う存在を意識し始めたのは、



その声が耳に入ってきたあの日からだ。






「勝てるよ!」


「(当たり前だろうが。)」


「行けー!景吾!!」


「(わかってる。)」


「お疲れ様!!」


「・・・・ああ。(・・・・お前も)」






ずっと声をかけ続けていてくれた。






「・・・。」


「ん?」


「俺は強ぇんだよ。(だから)」


「(?)知ってるよ」


「・・・・・声、かれてる。(だからそんなに声を飛ばす必要は)」


「あ。本当だ。・・・でも仕方がないって!景吾の試合、たくさん応援したかったんだもの!」


「(!)」







1人でもいいと思ってた。



人を信じることはどんな難解な問題より難しい。



だから、孤独。






「他のみんなも。勝つって信じられるから、たくさん応援したくなる。・・・がんばれしか言えないんだけどね。」






‘応援したかった、



勝つと信じられるから。’



がんばれとしか言えなくても



それがどれほど俺の力になるか、は知っていただろうか。



















「・・・・跡部。俺これからちょっと打ちたいんやけど、相手してくれへん?」


「あっ。侑士!俺も打ちてぇ!」


「俺もー!」


「長太郎。俺たちも少し打ってくか。」


「はい!」





















初めて、誰かに会えてよかったと思った。









「・・・・・。」








写真を見て俺は小さく名前を呼ぶ。



今もお前を失った悲しみは俺を侵食しているが、



そんな時はお前の全てを思い出す。



今も、お前が側にいると。






「跡部。跡部も練習してくやろ?」


「お前らわかってんのかよ。明日から超ハードな練習準備しといてやるからな。」


「うをー!跡部やる気だC!」


「折角コートに戻れたんだ。それくらいやってみせる。」


「今言ったこと忘れんなよ?宍戸。」


「・・・・・げ。」






がんばれとしか言えなくても



それがどれほど俺たちの力になっていたか、は知っていただろうか。






「楽しみですね。全国。借りは絶対返しましょう!」


「嫌味か?鳳。俺と侑士に対する嫌味か?」


「えっあのっ・・・違います!!」






四葉のクローバーの群れは



写真たてに入っているものを採った次の日には消えていた。



部員達は突然現れ突然消えたクローバーに驚いていたようだが、



俺たちレギュラーは誰一人として驚かなかった。






「夢。」


「・・・なんや?ジロー。」


「絶対叶えようね!全国優勝して、それでが全国1位のマネージャーになるの!ね、跡部!」


「当たり前だ。」







また巡り会えたら、あの笑顔を見せてほしい。



青空の下。



緑のコートの上で



いつもがんばれと励ましてくれたあの笑顔で。
















































































































































































































「・・・・これより全国大会を開催いたします。」





「お前ら、行くぞ」


















































































































































また巡り会えたら、今度は絶対伝えてやろうと思う。



信じられる奴が側にいるからがんばれと言ってくれるから



だから俺たちはがんばれる。



・ ・・もしかしたら、もう聞こえてるかもしれねえな。



そこにいるんだろう?







俺たちは行くぜ?

































































































































































































































































お前と、一緒に。






























































































end.                           気に入っていただけましたらポチッと。