「ねぇねぇー」



「なぁに?ジローちゃん」



は忍足のどこが好きなの?」



「・・・・・・・・・・・顔?」



「顔なん?!」








































『盲目思想主義』






























‘屋上でサボらへん?’








侑士からメールが届いたメールにあたしは即同意



天気は良くて



暑からず寒からず



そんな気候に授業で教室の中



おとなしく座って外をうらまし気に見てるより



侑士と一緒に屋上に上っていたかった。






「あれ?だー!」


「ジローちゃん?」






二人で上り終えた屋上まで続く階段。



扉を開けると屋上には先客






「ってかジロー。俺は無視なん?」


「わーいだ!」


「無視やな?・・・あっこらにひっつくなや!!」






あたしにとってはいつものこと



ジローちゃんに後ろから抱き付かれた。






「ジロー・・・離れろや」






侑士にとってもいつものこと。







「侑士、座ろ?」


もちょっとは気にしぃや」


は優しいんだよ?忍足と違って」


「・・・黙れや」







日が指す屋上であたし達は日陰を探して



屋上を囲むフェンスに体をあずけて



腰を下ろした。







「(!!)ジロー・・・いい加減にせんと俺怒るで?」


「忍足が怒ったら跡部に言いつけるよ?」


「・・・ジローちゃん」






ジローちゃんはあたしの背中から離れて



今度はあたしの足で膝枕






から離れろ、ジロー。」






少し怒った色を含んだ侑士の声をジローちゃんは無視。



そして、








「ねぇねぇー」


「なぁに?ジローちゃん」






あたしに、聞いた。






は忍足のどこが好きなの?」


「・・・・・・・・・・・顔?」


「顔なん?!」

























































天気は良くて



暑からず寒からず



ジローちゃんは気持ち良さそうに膝枕で眠り



侑士は・・・・・・黙った。






「侑士?」


「・・・はぁ」






侑士はあたしの膝で眠るジローちゃんを一度横目で見て溜め息。



あきれてるの?



諦めてるの?





「・・・・顔か・・・」


「・・・ダメだった?」


「ダメっていうか・・・俺がかっこいいのは分かってんねんけど」


「・・・自意識過剰ー」


「でも、顔だけなん?」





あたしなりの正直



侑士のどこが好き?



一目ぼれなんかあるわけないと信じていた私が一目ぼれ



侑士を一目見た時から好きだった。



顔って言うのも嘘じゃない。






「なぁ、。俺のどこが好き?」


「・・・・・・・・顔。」


「俺、泣くわ・・・」






侑士のどこが好きかなんて愚問



一目ぼれしたあなたに会う度に話す度に



好きは増えていって。













顔って言うのは



あたしなりの冗談と正直






「侑士、侑士」






ジローちゃんが膝に寝ていたからうまく動けないけど



手を伸ばして肩を落として下を向いていた侑士の制服の袖を引っ張った。
















「あたしは侑士の全部が好きだよ」


・・・」














侑士のどこが好きかなんて愚問



あなたに触れる為に縮めなきゃいけない距離にさえ



あたしは恋をしてるから






























侑士の手があたしの頬に添えられて



お互いの顔が近付いた。



侑士の唇と重なる寸前、















































「・・・・ジロー。起きてるやろ?」


「え?」






あたしは侑士の目線を追いかけて



あたしの膝の上



眠っているはずのジローちゃんの顔を見た






「・・・ばれた?」


「ジローちゃん!!」


「趣味悪いで?ホンマ」






ジローちゃんが体を起こす






「二人で勝手に盛り上がってたんだよ?俺悪くないCー」


「あんなぁジロー・・・」





「また俺のこと無視なん?」






ジローちゃんはあたしを真っ直ぐ見ていた。



あたしの手をとって



ジローちゃんがあたしの手の甲にキスをして






「なっ?!ジロー!!」


「忍足が嫌になったら俺のとこ来なよ。待ってるCー」


「ジローちゃん」






侑士が本気で怒らないのも



あたしが嫌な気にならないのも



ジローちゃんが見せる無邪気な笑顔のせい









「ジロー・・・」


「あっ怒らないで忍足。邪魔者は消えてあげるよー」








ジローちゃんは立ち上がって屋上から校舎へ続くドアに向かって歩いていく。



ドアのぶに手をかけたジローちゃんが振り向いた。



















「恋は盲目って言うしね。全部がよく思えちゃってもしょうがないよね、。」
















ジローちゃんがあたしに笑いかけて



屋上を後にした。








「なんてこと言うて消えんねん・・・」


「・・・・・・・・そっか・・・・・恋は盲目!」


までそういうこと言うん?」








やっと当てはまる言葉を見つけた気がした。











































「だってあたし、侑士以外見えない。」













































恋は盲目ってこれも当てはまるよ、きっと。















































「・・・・・・・・・・・。」







さっき逃したキスを追いかけて重ねた。





侑士のどこが好きかなんて愚問。




















あなたに触れるまでの距離にさえ



あたしは恋をしてるから。









































あなたの、全てに。

























end.