休みの日なんか億劫。





あなたに会えないから


























『日曜日のすすめ』






















「あれ?じゃん」


「(!!)」









今日は日曜日



家でお昼を作っていた母さんにしょうゆ買ってきてって頼まれて。



しょうゆを買って家に戻る途中



テニスバッグを背負ったブン太に会った。






「何それ?・・・しょうゆ?」


「・・・気にしないで。」






休みの日なんか億劫。



あなたに会えないから



だからこうやって日曜日に会えたらうれしい








けどさ








(もっとかわいい服着てくればよかった)







会えるなんて思ってなかったから



あたし今全然かわいい服着てないし



普通だし



なんでかしょうゆ持っちゃってるし






「(恥ずかしい)ブン太は部活帰り?」


「おう。今日は午前中だけだったんだ。」


「お疲れ」


「ありがとな。しょうゆ持つ?重たそう」


「・・・気にしないで」






ブン太に会えるなんてわかっていたら



今しょうゆなんか持ってなかったのに・・・






「初めてだよな!日曜日にと会うなんて」


「うん、そうだね・・・」


「どうしたよ、元気ねぇじゃん」


「・・・・」






せめてもっとかわいい服着てればよかったのに。



しょうゆなんか持ってなければよかったのに



そしたら



休みの日に



ブン太に会えたこと



もっとうれしいことになったのに。







さ。しょうゆだけ買いに来たのかよ?」


「・・・そう。母さんに頼まれまして。」


「ふーん」






ブン太があたしの持ってるしょうゆ一本だけがはいったスーパーの袋を見た






「じゃあしょうゆに感謝だな!」


「え?」


「日曜日にに会わせてくれて」






しょうゆ重いよ。



ブン太と会えた日にあたしの手になんか持たれてないでよ。



なんなの。



でも



しょうゆを買いに来たからブン太に会えた。






「・・・俺うれしかったからな。休みの日にと会えて。」


「ブン太・・・」






























































「俺はが好きだから。」


「え・・・?」








































いきなりあたしの隣から走り出したブン太



ちょっと待ってよ。



言い逃げはずるいよ



あたしの手にはしょうゆ



ものすごい速さで走っていったブン太はもうだいぶあたしの前にいた。






ちょっと待ってよ






「ブン太ー!!」






叫ぶあたし。



止まれブン太。



手にはしょうゆ



かわいい服なんて着てないあたし



あなたに会えた日曜日。






「ブン太ー!!あたしもブン太が好きー!!」






止まれブン太



この状態のあたしに言い逃げは卑怯だ。



あたしから遠く離れた前方でブン太は足を止めた






「何て言ってるかわかんねぇよー!!」


「好きー!!」







こっちを向いて叫ぶブン太。



あたしも負けずに叫ぶ。






「何ー?」


「すーきー!!!」


「あー?」







叫び合う公道



周りに人はいなくても民家はたくさん



でもブン太



この状態のあたしに言い逃げは卑怯だよ。






「好きだってばー!!!!!」


「聞こえねぇ!!!!」


「・・・・ブン太のばぁかー!!!!!」



「んだと?!こら!!!!」













聞こえてるんじゃん。











あたしは叫ぶのを止めた。



あたしの手にはしょうゆ



かわいい服なんて着ていない。



ブン太に会えた日曜日。







「・・・あたしに何回言わせる気だったの?」


「いや、だってさ。何回も言って欲しいもんだろぃ?」







遠く離れた前にいたブン太は



あたしが叫ぶのを止めたのと同時に



また走ってあたしのところまで来てくれた。






「ほら、しょうゆ貸せよ。」


「・・・気にしないで」


「いいから。」






あたしの手からスーパーの袋を奪ったブン太






「だって日曜日に会えるなんて普通思わないだろぃ?今言わなきゃいつ言うんだって思ったんだよ!!」


「でも言い逃げは卑怯!!」


「・・・わりぃ」






マジでしょうゆに感謝だな






ブン太がボソッと言ったのが聞こえた。







「母さんにもね」


「ん?」


「なんでもない!」







もっとかわいい服着てくればよかったとか



なんでしょうゆ持ってるんだろうとか。



そんなことばっかり思ったけど



あなたに会えた日曜日



なぜかしょうゆに感謝。







「・・・あたしにさっき何回も言わせたんだから、ブン太も言って。」


「・・・俺も言ったろぃ?」


「もう一回でいいから!!」




















































「・・・が好きだ」

























end.