いつも通りに廊下に張り出された定期テストの結果。





首位はそいつの常連席。





むしろもう指定席だった。





年中学年一位の成績
































『翼の生える位置 1』





















「よくだよなぁ、!また一位!」


「不登校なんだろ?って」






廊下に張り出された結果を見ていた俺の後ろで



同級生の話し声が聞こえた。



そいつを知らない奴はいない



毎回テストの結果が張り出される度に



一番目立つ場所にいるから。






「あ。」






見つけた俺の順位。



苦手科目の英語がずるずるずるずる足を引っ張って。









(…こんなもんだろ)









まだ一年生だし。



なんて、もうすぐ二年になるわけだけど。






(何か言われるかもなぁ)






頭をよぎったのは



テニス部の先輩達の顔。



・・・英語のせいだ。



あんな言語があるから!!






(どうせ言い訳ですよー)






張り出されたテストの結果から離れて



向かうべきところに向かう。



最後に目に入ったのはそいつの名前


















































「どうだったんだい?赤也」






場所は屋上



扉を開けば



見慣れた整った顔のテニス部の先輩達がぐるっと輪になって座っていた。



個々に持ってきた昼を食べている。



三年生がこの夏に引退して、新しいレギュラーが決まった。



俺もその一人。



昼休みには部活の連絡とかのために



こうして立海テニス部レギュラーは屋上に集まることになっている。



屋上は本当は立ち入り禁止だけど誰もいなくて静かでいい。










「あー…はははっ」









顔を合わせて開口一番に幸村先輩がおれに聞いてきたのは



もちろん見に行ったテストの結果について。






「どうせいつもどおりだったんだろぃ?」


「おいおい。」


「切原くん勉強はしましたか?」


「ダメダメじゃ」


「たるんどる。」


「弦一郎、赤也の頭の解決方法を探さないといけないな。」


「英語ができないってこの人?」



















ん?






























最初に嫌みを言ったのはブン太さんだろ。



次がかげ薄いけどジャッカル先輩。



次に柳生先輩。



それから仁王先輩に真田先輩がたるんどるって言って。



次が柳先輩。



最後の英語ができないってこの人?って



一体誰が言った?








































「…わかめだ。」


、人の気にしていることはもっとオブラートに包むんだよ」


「別にくせっ毛は気にしてないっすから!!」































幸村先輩に隠れていて見えなかった。



茶色い色素の薄い髪。



まじまじと顔を確認する













































「…?」


「知り合いだったのかい?。」


「ううん、初対面。のはずだよ、精市。」










































幸村先輩の背中側近くに座っていたが俺をその目に映していた。



クラスは違うし



こいつ不登校だけど



一度だけ



いつかなんて忘れたけど



目にしたことがある。



茶色い色素の薄い髪が印象的で



俺だけじゃなくて



確かその時まわりにいた奴らがその姿に目を奪われていた。
























、切原赤也だよ」


「わかめじゃないの?」


「お前、バカだろ。ってか今幸村先輩のこと呼び捨て?」





















目の前にいる



確かにあの学年首席のだった。



今こいつに俺の紹介をした幸村先輩にぴったりくっついている






「なんでここにが…」


は俺の幼馴染みなんだよ、赤也。仲良くしてやってくれ。」






そう言ったのは幸村先輩。






「…幼馴染み?」


「幸村とは仲良しさんじゃな」


「うん」


「不登校って聞いてますけど?」


「そう言うことは本人の目の前で言うもんじゃねえだろぃ、赤也」






ちょっと、待て。



なんで俺は今テニス部の先輩のこの人達全員から見事に睨まれてんの?



全員の味方ですか。
























「…よろしく、わかめ。」


「名前で呼べよ!!」








































茶色い色素の薄い髪。



学年首位のそいつ



俺をわかめと呼び続けた


















第一印象は最悪だった。








































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