「おいっ丸井!それ俺のパン!!」
「ケチんなよ、ジャッカル。モテねえぞ」
「丸井、ジャッカルは最初からモテない」
「きついとよ、参謀」
「も食う?」
「だから俺のだって言ってんだろ!!」
「ぷっ・・・・・あはは!」
『翼の生える位置20』
一週間ぶりくらいにが学校に来た。
その日の屋上は、変わらず騒がしい。
「なんだよ、ケチんなって!」
「ケチとかそういう問題じゃない!俺の昼飯がなくなる!!」
「ブン太さんの弁当はどうしたんすか?」
「あ?もう完食したっての!」
「ブン太先輩早すぎだよ」
が笑っている。
それがいつになく楽しそうだった。
さっきまで屋上で泣いていたのが嘘みたいだ。
「、ほれ。」
「まーるーいー!!」
ブン太さんが投げたジャッカル先輩のパンを一つ
がキャッチする。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ジャッカル先輩。」
「あ?」
「・・・・・・いただきます!」
「!!」
がパンの袋を開けた。
そう言えばが何か食べてるところは見たことがない。
前に保健室から購買へ一緒に行ったときもおごるっ言っても何も選ぼうとはしなかった。
「・・・・・・・・・・・・こらっ!!」
「いいじゃねえか、ジャッカル。モテねえぞ」
「丸井、ジャッカルは最初からモテない」
「きついとよ、参謀」
きっと誰もがそうだったんだと思う。
がパンを食べた瞬間、この場の誰もが驚いていた。
「」
「ん?」
「意外に口でかいな」
「・・・・・・赤也のバーカ!!!!!!!」
「痛てっ!冗談だって!!」
が俺の腕をパシパシ叩く。
別に痛くもないのに痛いとか言って。
お前が笑っている。
それがいつになく楽しそうだった。
さっきまで屋上で泣いていたのが嘘みたいだ。
笑ってほしくて。
笑っていてほしくて。
「赤也。」
「何だよ」
「楽しいね!」
の左頬は腫れはそうでもないけど、まだ少し赤い。
そのことについて、誰も問おうとしない先輩達。
そのおかげでこの雰囲気。
・・・・仁王先輩が先輩達に何かしら話したのか。
先輩達はのことどこまで知っているんだろうか。
「そうだな」
なんにしても。
が笑っているから。
「ジャッカルー」
「来るんじゃねえ!!」
「ジャッカル先輩ー」
「なんだ、赤也!お前もなのか!?」
ジャッカル先輩は最後のパンを一つ死守しようといていた。
「俺の昼だって言ってんだろ!!」
「俺はもう弁当食い終わったんだよ!」
「それは、お前の都合だ!!!!!!!」
「行け、赤也。」
「うぃっす!」
俺はダッシュでジャッカル先輩の背後へ回ると
ジャッカル先輩の両腕を後ろから押さえ込んだ。
その隙にブン太さんがジャッカル先輩の手からパンを取る。
「ああ!!!」
「さんきゅうな、ジャッカル!きっとモテるぞ!!」
「丸井、ジャッカルは最初からモテない」
「参謀、ジャッカル泣いちゃうとよ。」
一週間ぶりくらいにが学校に来た。
その日の屋上は、変わらず騒がしい。
笑う、笑う俺。
落ち込むジャッカル先輩。食うブン太さん。
冷静な柳先輩。ジャッカル先輩の肩を慰める気もないのにポンっと叩いた仁王先輩。
黙々と自分の昼食を進める真田副部長と柳生先輩。
「・・・・・今日当たり一緒に幸村部長とこ行ってみるか?」
「(!!)・・・・・・うんっ!!」
誰がお前のこといらないなんて言う?
よく見ろよ、。
お前は一人じゃない。
先輩達にとっても、俺にとっても、
お前は、特別。
だから、この場に似合わない赤い左の頬が
気に入らない。
一人じゃない、だからこそ。
俺がお前を、守ってやりたい。
「何あれ、 じゃん。また来たの?」
守って、やりたい。
End. この作品が気に入っていただけましたらココをクリックして下さい。