空を浮遊するこの身は、空に押しつぶされそうなばかりに。



























『翼の生える位置24』  




















「赤也!」


!今日は終わってから連絡するって言ったろ?」


「たまには練習見たいなあって」






季節はもう少しで、と出会ってから一周を巡ろうとしていた。






「あれ何?じゃん!」


「ブン太先輩!お疲れ様!!」


、俺には?」


「仁王先輩も!みんなお疲れ様です!!」





先輩達にとっては最後の全国大会を控えた今。



俺たちのところにはあの人も戻ってきてる。






。見ててもいいけど、日陰にね。」


「分かってるよ、精市。」





「うん。終わるまで待ってるよ。」






そう言って俺に手を振ってコートが見える木陰へと向かった



軽く手を振りかえした俺の背後。



後ろから首に両腕が回った。





「ちょっ苦しいっすよ!!」


「ラブラブじゃんかよー赤也ー。」


「ブン太さん、絞まってる!絞まってますって!」





俺はブン太さんの腕を叩いてギブアップを表明。





「丸井。緩めるな。」


「おっ。何仁王。赤也を殺せってか?」


「ちょっと!冗談じゃないっすよ!」






ギャーギャーと騒ぐコートを見てが笑ってるのが見えた。





(あ。)





今一瞬だけ小首を傾げて笑いかけたのは、俺にむけて。





「赤也。」


「何すか?」


は元気か?」


「・・・・・・・笑ってますよ。こっち向いて。っていい加減離れてください!ブン太さん!!暑い!!」






は、



よく笑う。



話をする時、一緒に遊ぶとき、たまにいい雰囲気になったときも。



小首をかしげて笑いかける。
























幸せそうに笑う。





















「・・・仁王。やっぱり俺腹立ってきた。」


「絞めてよかよ?」


「よっしゃ!」


「うわぁ!ちょっぐるしっ・・・・」





先輩達は、俺を最近こうして絞める。



いつか命がなくならないことを祈るばかりだ・・・・・。





「こらっ!何をやっとる!!練習を再開するぞ!!」





やっと拘束から逃れた俺はもう一度を見た。



なあ、幸せ?



真田副部長の号令でコートの中心に集まるレギュラー陣。







「赤也。」


「幸村部長。」






俺の後ろから幸村部長が声をかけてきた。



俺の肩に手を置いた幸村部長は



俺に耳打ちする。











を泣かせたらただじゃ置かないよ?」










幾度聞いたか、その言葉。



言われるたびに寿命が縮まりそうだ。



・・・・でも。



その言葉を言った後の幸村部長の表情は、いつになく優しいから。



俺はそれを言われるたびにを泣かせまいと誓うんだ。

















































赤也は側にいる。



あたしが寂しいと思う前に。



赤也は側にいる。



だからあたしは笑う。



うれしくて、楽しくて。



ねえ赤也、あたしは









幸せです。









空を浮遊するこの身は、空に押しつぶされそうなばかりに。



前まではそうだった。



けれど今は見つけたよ。



空を浮遊するこの身がどこまでも昇っていけるような、


















































翼の生える位置。


















































あなたの隣にあったんだ。






































































!悪ぃな。待たせて。」


「いいよ。お疲れ様。赤也。」


「あの人たち最近俺のこと絞めすぎなんだって」


「愛されてんだよ、赤也が。」


「いや、違うな。愛されてんのはの方。」


「?」


「それより、行こうぜ!俺の家。」


「・・・・緊張してきた。」


「うちの奴らは早くお前に会いたがってたけどな。」


「(!!)お母さんとかに話したの?」


「当たり前だろ?はうちの家族になる予定なんだから。あと4年待てよ?俺が18になるまで。」


「・・・うん!!」





























寂しさはもうわからない。



2人が側にいるから。



あなたに会えて良かった。



心からそう思う。










































なあ、幸せ?



















































ねえ赤也、あたしは幸せです。





























































End.                       この作品が気に入っていただけましたらココをクリックして下さい。