「じゃあ今日の練習でレギュラーは試合形式でいこう」
「ああ」
幸村先輩が部長に。
真田先輩が副部長に正式に決まった昼休みの屋上は
「ブン太先輩これは?」
「お、新発売?」
気持ち悪いくらいの甘い匂いで充ち満ちていた。
『翼の生える位置3』
「・・・もブン太さんも何やってんの」
「赤也にはこれがお菓子以外の何に見えるの?」
円になって座るいつもの面子プラス。
は今幸村部長とブン太さんの間に座っていた。
俺はそのブン太さんの隣に座っていて
購買で買ったパンを食いながら
幸村部長と真田副部長の話を聞いていたんだけど。
「赤也も食う?」
「・・・いらないっす」
今屋上に充満の甘い匂い
全部俺の隣でとブン太さんが広げ始めた山のようなお菓子のせいだった
「二人とも昼食ったのかよ」
ちょうどブン太さんの向かい側に座るジャッカル先輩が口を開いた
「俺今日早弁だもんよ」
「あたしもだよ、ジャッカル先輩。」
「いやのは嘘だろ。大体お前細すぎんだよ」
こいつが昼を食ってるのを俺は見たことがない
幸村先輩にくっついてぼーっとしてたまに話にはいってきて
それがこの時間に屋上にいるだ。
「あんまいじめんなよ、赤也。今食ってんだろ?お菓子だけど。」
「ブン太先輩の言うとおりだから。そう言うこと言うと赤也は仲間いれてあげない。」
「仲間?」
「「お菓子同盟」」
はい?
見事に重なったとブン太さんの声。
「赤也がはいらんなら俺がはいるとよ、」
「ブン太先輩、仁王先輩がはいるって。」
「よし、やったな」
ぱんっ
とブン太さんが手をだしてハイタッチ。
「お菓子同盟?」
「精市は?」
「俺もはいるよ、。」
「柳生も入るきに。な、ジェントル。」
「かまいませんよ。」
ちょっと待て。
お菓子同盟がなんなのかわからないうちに
同盟者が増えていく。
「俺もはいる。ジャッカルもな。」
「・・・勝手に決めるなよな柳」
「入るよな?」
柳先輩開眼。
「はいります」
ジャッカル先輩の同盟が決まった。
「ちょっ待っ…お菓子同盟?」
「真田も入るだろ?」
俺が問い掛けた疑問は流され
幸村部長の鶴の一声で
真田副部長の同盟が決まった。
なんだこれ。
どうでもいい孤立感。
っていうか何なんだ、お菓子同盟
「後は赤也だな」
「なんすかその目は」
ブン太さんが俺を見る
お菓子同盟に入ってしまえと俺を見る
「はいればいいんでしょ!はいれば!!」
開き直った俺。
お菓子同盟が何かは知らない
「「やった!!」」
再びとブン太さんがハイタッチ
「赤也明日お菓子買ってきてね。できれば新発売の」
「は?」
「お菓子同盟に最後に入った人はしばらくお菓子当番なの」
なの。じゃねえよ、
「はめられた?俺」
「「「「はまったんだよ、赤也」」」」
しばらく俺はお菓子をみつぐらしい。
きっとブン太さん以外はあまりお菓子を食べないから
絶対お菓子はブン太さんとのもの。
お菓子同盟を抜ければいいって?
この先輩達全員からはめられて抜けられる訳がない
「・・・」
「あたしだけ睨まないで赤也」
「お菓子同盟って何?」
「赤也にお菓子買わせよう同盟」
完璧はめられてんじゃん!!
ブン太さんとはしゃぎ続ける。
(・・・楽しそうだな、おい。)
は不登校だって聞いていた。
学年は同じ一年だけど
クラスは違うし。
詳しくは知らないけど。
けど不登校の奴になんか見えない。
楽しそうだ。
(俺をはめたことに関してだけどな・・・)
落ち込む俺。
お菓子か。
買うのか。
笑う。
楽しそうだから、いいか。
(ダメだろ。よくはない。はめられたんだし)
ブン太さんが俺の背中をぽんっと軽く叩いた。
「ドンマイ赤也。」
「ドンマイじゃないっすよ!!」
ダメだ。
いいやもう。
だって俺も今楽しい。
お菓子同盟上等。
アホな俺。
だから、気付かなかった。
「何あれ?じゃん」
「なんか最近また学校来てるんでしょ?」
「は?せっかく来なくなってたのに。」
「どうする?しめとく?」
屋上が見える教室の窓から俺達を見て
そんな会話をしている存在があったことも
の笑顔の裏の寂しさも
気付かなかった。
気付けなかった。
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