神様は不平等。 |
不当に奪われた彼のもの。 |
精市はテニスのものじゃないし テニスは精市のものじゃない。 |
でもテニスは精市のすべてだ。 |
いつから? 誰にも話せない本当のこと赤也にだけ話せる。 気付けばいつもいつの間にか夜から朝に変わっている。 驚くことなくそれを受け入れる毎日。 誰もいない家で起き上がれば 体に残るアザがやけに目に付いて。 見ても痛みを思い出すとかそんなことはなかったけど。 学校に行く気なんかまったくなかったある日。 精市から電話。 「会わせたい奴がいるんだ」 精市に言われるがまま学校に来て 精市があたしに会わせた人が赤也だった。 |
いつも、側にいてくれた。 あたしはダメな人間で、醜い人間で。 でも精市はいつも側にいてくれた。 あたしに大切なものをくれた。 |
会って伝えたい。 ありがとうとごめんなさいと 赤也に会わせてくれてありがとうって あたし赤也になら本当のこと言えるんだ。 まだ言えないことももちろんあるけど。 |
居場所なんかどこにもなかった。 でも今は空の上じゃなくて青空の下、歩いているよ。 みんながいるから、赤也がいるから。 精市、 たくさんありがとうを伝えなきゃ。 いつも側にいてくれたあなたに。 |