青しか、見えなかった。




いつも見上げた空の色。




吸い込まれるほどの




焦がれるほどの













絶望の、色。
































『翼の生える位置19』



























いつからだったかな。



あたしこの世界から消えたかった。



強くもない、弱くもない。



涙も出てこない。



保健室のベッドの枕に顔をうずめて、呼吸を止めて。



屋上に上って青空に足を踏み出して、飛び降りて。



いつからだったかな。



あたしこの世界から消えたかった。
















「・・・・・・」















今日も青いんだね。



冬の空、晴れればいつもより澄んでるように思う深い空の浅い青。



ケータイを握り閉めて、あたしは屋上に立っていた。



まだ頬は腫れたまま。



あたしは学校に来た。



朝目が覚めて、赤也がいなくて・・・。











また、捨てられたのかなって。









でも、赤也からメール。







「・・・・・・信じるよ。」






信じさせて。



この世界から消えたがっていたあたし。



この世界にとどめていたのは精市だった。



あたしの側にいてくれた人。



テニス部の先輩を紹介してくれたりだとか、少しでもあたしが学校に気安いように、



一人にならないように。







でもね、精市。



あたし、あなたの優しさが痛かった。



心配させてるんだって、迷惑かけてるんだって。









もう、消えてもいいかなって。









学校に行かなくなって。



どうやって消えようかって考えてて。





、切原赤也だよ」





そんな時、あなたに会った。



精市が会わせてくれた。



初めてあたしの青を隠した。



少しづつ、少しづつ。




















































好きになった。

































































まだ、怖い。



今もあたしを覆う青。



あたしの居場所はないんだって叫んでる。



居場所がなくてもここにいるあたし。



たくさんの人が近くにいてくれてることに気付いて



だからこそいらないなんて言われたくなくて。



あたしは怯えてる。



でも。





「・・・・・・・」





ケータイを握り締めた。



もうじき一時間目の授業が終わる。



終了のチャイムと同時にディスプレイに表示した文字。





‘切原赤也’





通話ボタンを押した。





<プルル・・・>





でも、もしも。





<プルル・・・>





いらないって誰かに言われても





<プルル・・・>





生きる理由さえあれば





<プルル・・・>





あたしは、ここにいてもいいですか。





<プルル・・・>




















































消えなくても、いいですか。














































































































































『・・・・?』


「・・・・・」


『どうした?今どこにいんの?』


「がっ・・・こう」


『え?』


「・・・・学校、来たの」


『屋上?』


「うん」


『すぐ行く』


「・・・うん!!」


















































あたし消えなくてもいい?



あたしね、本当はここにいたかったんだ。



みんながいる場所。































































!」






すぐに開いた屋上の扉。



・・・・今まで泣けもしなかったのに。



昨日あなたがあたしを泣かせたから。





「何だよ?泣くなよ」


「・・・だっだって・・・・」





こんなにも簡単に今まで泣けなかった分



涙が、あふれる。






「だって・・・・会いたかった・・・・。赤也に会いたかった!!」


「・・・・・・」






空があたしを覆う。



居場所なんてないくせに。



青があたしを覆う。
















優しく。
















































































赤也、




あたしの生きる理由は貴方です。























































end.                             この作品が気に入っていただけましたらココをクリックして下さい。