春の法則
知ってる?
「長太郎!早く!」
「あっ危ないよ、!」
出会いがあれば別れがある
始まりがあれば終わりがある
そんな法則。
『桜の法則』
手をひく君が先に行く
手を伸ばせば触れることができる
それが俺との距離
「うわぁ。綺麗!」
「よかった。がそう言ってくれて」
ある日見つけた学校帰りの神社
満開の桜の群れ
にその場所を教えると‘見に行きたい!’って
二人でお花見決定。
「見て見て長太郎。空が桜色!」
「え?」
と見上げた空は青じゃなくて桜
「綺麗だね」
「ね!」
俺達の頭の上に伸びた桜の枝は
俺達から見える空の範囲を埋め尽くしていた
つまり桜色の空。
「・・・」
「ん?」
「・・・・」
うれしそうに桜色の空を見上げる君が
愛しいなんて思えて。
「ね。何?長太郎」
「・・・・」
春の法則、知ってる?
「なんでもないよ」
出会いがあれば別れがある
始まりがあれば終わりがある
そんな法則
「桜見るとさ、卒業式思い出さない?学校の桜があの日は満開で」
「・・・・そうだね」
「跡部先輩達元気かな?長太郎は会ったりしないの?」
「たまに部活に顔だしてくれるよ」
高等部にあがった先輩達とは変わらず顔を合わせることがある
でも確かにあの日
別れの言葉を交わした。
春の法則にのっとって。
「俺も初めてここの桜を見た時卒業式を思い出したんだ」
春の法則。
出会いがあれば別れがある
始まりがあれば終わりがある
そんな法則
「ねえ、」
俺達にとっては
春はどんな季節?
どんな法則が成り立つ?
始まりがあっても終わりなんか欲しくない
俺はこの法則に逆らっていたい。
「長太郎?」
「約束しない?」
「・・・約束?」
「そう。なんでもいいよ。春になったら、桜が咲いたらそうするっていう俺との決めごと」
春の法則、知ってる?
始まりがあれば終わりがある。
でもへのこの想いも関係も終わりなんか来て欲しくない。
桜を見て思い出した。
少し前に終わりと別れを経験したことを。
だから、と見に来れた桜。うれしいけれど、怖かった。
出会いと別れの
始まりと終わりの
この季節の象徴。
「なんでもいいんだ。なんでも」
新しい法則を作ろうよ。
手を伸ばせば触れることのできる
それがと俺の今の距離だから。
新しい法則を作ってみようよ
春の法則に負けない法則。
「じゃあ・・・・。毎年ここでお花見ってのはどう?」
「お花見?」
「春が来たら、桜が咲いたらそしたら2人でここに来る。絶対ね。」
「絶対?・・・」
「そしたら、2人で桜色の空を見て綺麗だねって言うの。」
法則:春になり桜が咲いたら、2人で桜色の空を見上げて綺麗だと言う。
「どうでしょうか?」
「じゃあ、約束。」
「うん!」
誰もが知る法則に俺は必死で抵抗。
始まりがあれば終わりもあると
そんな法則に逆らって。
が決めた桜の約束。
それが俺たちにとって自然なことになるならば
桜の約束は桜の法則へ変わる。
信じてるんだ。
「綺麗だね。」
「うん」
春の法則は俺の心にもの心にも成り立たないと。
春の法則、知ってる?
出会いがあれば別れがある
始まりがあれば終わりがある
そんな法則に逆らって、桜の法則。
桜色の空。
変わらない春に待ち焦がれ、綺麗だと一緒に口にしたい。
ずっと。
ずっと。
end.