俺はまだ子どもだから、





愛なんて





うまくは語れない。





















『親愛なる人へ』

















「清純バイバーイ!!」





女の子達が、俺が通り過ぎる度に



そう言ってくれているのが聞こえる。



けどごめん。



俺今あいさつ返しているどころじゃない。







「ついてこないでったら!!」


「じゃあ話聞いて!!」


「部活行け。」







すたすた俺の前を歩く



行き先はいつも同じ。






























「…、どうしたら信じてくれるの?」


「…」










屋上にでれば



俺に背をむけて



屋上をかこむフェンスの外をみる君。



















「信じてってほうが無理なのよ」





















一週間前に俺はに告白した。



同じクラスの近くの席になってから



好きになるまでそう時間はかからなくて。




















“あたしもキヨが好きだよ”’


















それがの答え。



うれしすぎて死ぬかと思った。



けど。

















「キヨ女の子大好きじゃん。いつも女の子目で探しているじゃん。」


「…否定はしないけど」


「できないんでしょ。」










だって



・・・女の子ってみんなかわいい。









「でも、好きなのはだけだもん!!」


「…へえ。」
















は信じてくれない。



俺が好きなのは君だけなのに。


















「どうすれば信じてくれるの?どう言えば信じてくれる?」


「・・・」















わからないよ。



この感情を表すのだって



好きって言葉以外知らないんだ。


















「…キヨは…」


「う、うん!何?」


「キヨはテニスとあたしどっちが好き?」


















…え。










確かに、部活サボってまでのとこにいるけど



知ってるでしょ?



俺、テニスも大好きなんだ。




















「ちょっちょっと待って!」

















君を手に入れたいならだって言えばいい。



でもね、南とか檀君とか、阿久津とか。



かけがえのないものがたくさんある。













それをひっくるめてテニスだから。









(答えられない…)








気付けばが顔を下に向けて



少し震えていた












!!なっ泣いてるの!?」











顔をあげた


























笑っていた。






















「ごめんキヨ。馬鹿な質問した。」


「え?」


「テニスって言われなくてよかった。ありがと。悩んでくれて」











笑いかけてくれる











「キヨにとってテニスは大切なものでしょ?」


「えっじゃっじゃあ!!」


「…信じてあげよう」


























うれしすぎた。




















「嘘!ホント!?ー!!」





を抱き締めれば



ますますうれしくなって















「ちょっと、キヨっ…」


「だって、うれしい!!」


「…浮気ダメだからね、絶対!!」

















好きって言っても



その感情がわかっても



まだ子供な俺は愛なんてうまくは語れない。






















でも、





親愛なる人へ。











まだまだ子どもな俺なので





信じてもらえないことも





不安にさせちゃうことも





あるかも知れないけど。





でも、これだけは覚えていて。





俺が誰よりも何よりも側にいたい人。
























それが君であること。























end.