あの日あたしの耳に届いたのが





空耳でないなら何だと言うの。




















。お前は今日から俺のものだ。」
















空耳よ。空耳。

































『そら』


































空夢でも見ていたのよ。



だって景吾があたしにそんなこと言うはずないもん。






「何ぼうっとしてんだ?。」


「景吾」


「次、移動教室だぞ。」


「あっ」






気付けば、空っぽの教室には景吾とあたしだけ。



空は空色。



あたしの隣の席は景吾。



景吾は頬杖ついて、あたしを見ていた。






「いっ行かないと!」


「待てよ。」






自分の席から立ち上がったあたしの手を



景吾が掴んだ。



空っぽの教室。



ただでさえ2人きりなんて緊張するのに



景吾が触れたりしたら心臓が誤作動を起こす。






「このままここにいようぜ、。」


「っ・・・でも、榊先生の授業だよ?」


「だからいいんだよ。」






いいの?ダメでしょ。



そんなこと思っていても口には出来ず、景吾の笑顔がそのままあたしを席へと着かせた。



空っぽの教室に本鈴のチャイムが響く。






「今日はどうする?」


「・・・・」













心臓が。



心臓が!!













?」













空頼み。



誰か心臓を助けてあげて。



空頼み。



誰か、あたしに景吾の顔を見る勇気をください。






「・・・・おい、。」






あたしは自分の席について下を見たままなのに



景吾はあたしを見てる。



視線は熱のようだ。



あたしの体温をあげて、心臓を壊そうとしてる。








。聞いてんのか?」







これさえも空夢?



あなたが何度もあたしの名前を呼んでる気がする。



空恐ろしい。



空耳よ。空耳。


























「おいっ、。」


「(!!)」




































景吾の整った顔があたしの目の前に現れる。



景吾は立ち上がってあたしの前の席に移動していた。






「はっ!はい?!」


「・・・今日はどうするかって聞いてるんだよ」


「今日?」






今日?



空は空色。



あたしは空夢ばかりの今日。



どうするって・・・。






「何をどうするの?」


「・・・・・・・・」


「・・・・景吾?」


「お前、昨日俺が言ったこと覚えてねぇのかよ。」


「昨日?」






昨日?



空はやっぱり空色。



あたしは空耳ばかりの昨日。



空耳しか覚えてない。













「・・・・」


「忘れたなんて言わせねぇ。」












空耳しか覚えてない。













































。お前は今日から俺のものだ。’














































空夢でも見てたのよ。



だって景吾があたしにそんなこと言うはずないもん。






「・・・・・・」


「・・・・マジかよ。」






ごめんなさい。怒ってる?



空耳しか覚えてません。



あたしはあなたが好きだから空夢ばかり。
















































「お前は今日から俺のものだって言ったじゃねえか」























またなの?空耳。



それとも空夢?



何かの言葉の空似なの?



景吾、それは空言?






「・・・・・」









あたしの目の前に景吾の顔がせまってきた。



気付いた時には唇を重ねていて。










「忘れるなんて冗談じゃねぇよ。」


「け・・ご・・・。」



















心臓が。



心臓が!!

















「今日、どうする?」


「え?」


「部活終わるまで待ってるのかって聞いてんだよ。」





































。お前は今日から俺のものだ。’













































空耳でないのなら、空夢でないのなら。






「・・・・待ってる。」






空似でないのなら。空言でないのなら。
























。今日からお前は俺のものだ。忘れんじゃねぇぞ。」



















あたしの目の前に景吾の顔がせまってきた。



気付いた時には唇を重ねていた。



何度も。



何度も。






「景吾。・・・・好き。」






好きだから、あなたのものになれるなんて



信じられなかったの。















空耳でないのなら、空夢でないのなら。



空似でないのなら。空言でないのなら。



何度でも聞きたいな。



















































「俺もだ。、好きだ。」






























































今日の空は、空色。



























end.