あたし






気付かれないようにするので精一杯。





哀しいくらい優しいあなただから。

























『好きでいるかぎり』


















。どうしたの?」


「何が?」


「いきなり俺の家に来たいって言ったから」





学校も長太郎達テニス部も休みの日



あたしは長太郎の家にお邪魔していた






「・・・なんでもないよ!急に長太郎に会いたくなっただけ!!」






長太郎の部屋。



照れるあなた。



突然の電話に優しく応えてくれた。






「あっなんか飲む?ごめん気付かなくて」


「ううん、いいよ。気にしないで。そんなことより・・・」











そんなことより。










「ん?何?。」


「・・・あっううん!なんでもない!!」






あたし



気付かれないようにするので精一杯。



哀しいくらい優しいあなただから。







「・・・長太郎。」


「ん?」


「今日泊まっていっていい?とか聞いたら困りますか。」







長太郎と付き合うようになって



キスもした



その先に進んだことだってあった。






「え?あのっその・・・」


「ダメ?」






長太郎は焦って顔を赤くしていた。






「・・・・」


「ダメ?長太郎。」


「・・・その顔は反則だよ、。」













長太郎があたしに触れる



頬をなでて



キスを交わす。






「・・・長太郎」






気付かれないようにするので精一杯。



あなたを好きになって知った



言い様のない焦燥感も



伝わる温もりに感じる不安も



伝えるには言葉じゃ足りない






。・・・俺、を不安にさせてる?」


「え?」




























「時々不安そうな顔してる」
























離れた唇が名残惜しい。



あたし



気付かれないようにするので精一杯だったのに。



哀しいくらい優しいあなただから。






「そんなこと・・・ないよ。」


「本当に?」


「本当に。」







気付かなくていいよ



気付かないで。



あなたが悪いんじゃないから。



長太郎の心配そうな表情が痛くて



今度はあたしからキスをした。









「・・・ん・・」






不安は拭えなかった。



同じ想いをあなたも抱いてくれていたとしても



いつも不安だった。








何に?



わからない。








わからないけど



あなたを好きになって知った



言い様のない焦燥感も



伝わる温もりに感じる不安も



伝えるには言葉じゃ足りない。









(だから、急に会いたくなるとどうしようもなくて)







「長太郎」


「うん?」


「今日、泊まってもいい?」






気付かなくていいよ



気付かないで。



あなたが悪いんじゃないから。











「・・・いいよ、。泊まっていって。の不安が消えるまで一緒にいよう。」









言い様のない焦燥感も



伝わる温もりに感じる不安も



伝えるには言葉じゃ足りない



だから、求める。






「・・・ごめんね、長太郎。」


「何が?」


「不安になるのは長太郎のせいじゃないもん」






気付かれないようにと



願っていたのに。



哀しいくらい優しいあなただから



心配なんてさせたくなかったのに。























が俺のことが好きなせいでなる不安なら俺はうれしいんだけど」























真っ直ぐな目であたしを見つめて



長太郎が言った。



あたし



気付かれないようにするので精一杯だった。



哀しいくらい優しいあなただから











「・・・長太郎、キスしようよ」


「・・・ん。」










何度キスを交わしてもきっと不安は拭えない。



あなたを好きでいる限り。



けれど、それですらもきっと
























































恋と呼ぶには、ふさわしいのでしょう。


































end.