「かわいいなって思ってて。ずっと見てました。付き合ってください。」
「ごめんなさい。・・・っていうか誰ですか。」
『好きな人』
厄介な人を
好きになったのだと思います。
「また告白されてたんじゃろ?」
「見てたの?」
「が呼び出されたって聞いたきに」
今は授業中の体育館の裏。
この状況はもちろんサボり。
「体育館裏って言うからぼこぼこにされるかと思っちゃった。」
「ふーん」
「・・・・・」
告白。
というものは滅多にされないわけじゃない。
雅治いわく
あたしは顔がいいらしい(顔だけか・・・)
話したこともないような見知らぬ人からも告白されたりする。
「は気が多い。」
「そんなことないもん。さっきも知らない人だったし」
「無意識ってことかのぅ。」
「・・・雅治だって告白されるでしょ?たくさん。」
雅治が告白される回数はあたしの比なんかじゃない。
それなのにあたしばかり
いつも責められる。
「俺はいいんじゃ」
「なんで?」
「以外見ようとも思わん」
ずるい人。
「・・・女の子でさえそんなこと言えないよ」
「俺は男の子じゃもん。お前と話したこともない奴がお前に気ぃ持ったりするのに腹が立つ。」
そうやっていつも
あたしを試すようなことを言う。
勝手な人。
「。」
「・・・・・」
「俺以外見るな。俺にはお前しかおらん。」
自分もそうなのだから
お前もそうしろと言う。
勝手な人。
「・・・雅治、ヤキモチ?」
「聞いたらダメじゃ」
「勝手にそういうことにしちゃうから。」
厄介でずるくて、勝手な人。
そんなこと言う必要ないとか
あたしだって雅治以外見る気ないとか。
それを言うには
あたしはまだ少し素直じゃない。
厄介でずるくて、勝手な人。
とても大変な人を好きになったのだと思います。
「」
頬をかすめた銀の髪
間近にせまる整った顔。
「俺以外見ないで。」
この至近距離で、それはないでしょう。
「・・・キスしてくれたら考える。」
「ん。」
厄介でずるくて勝手で。
でも、
他の人から言われるどんな愛の告白より
雅治のくれるたった一言が
あたしにとって
最大級の口説き文句。
「好きじゃ。大好き」
この至近距離でそれはないでしょう。
厄介な人
「は?」
キスの合間にそれを言わせようとする
ずるい人。
「・・・好き」
「ん。」
またキスをしてくれる
勝手な人。
ねえ、もっと口説いて。
例えばさっきみたいな
お前しかいないって言葉のように。
厄介でずるくて勝手な
私の好きな人。
end.