確かめたいのは、





いつだって同じだった。

















『スウィート・シアター』













ある日、



学校で延々と忍足に話された、映画の話をにした。



もう公開も終わってしまっていたその映画は



が見たくても見に行けなかったものらしい。






「亮。ビデオでいいからレンタルして一緒に見ようよ!」


「別にいいけどよ」






そんなわけで今は俺の部屋で映画の観賞中だったりする。







「・・・・」


「・・・・」


「・・・・」


「・・・・」







初めは、映画の主演がどうだとか



忍足の感想はこうだったとか



映画が始まってから少しだが会話をしながら二人で見ていた。








20分くらいだろうか



映画の設定や人物背景が見えてきたころ



二人は黙った。







「・・・・・」


「・・・・・」






俺とが無言の中、映画のストーリーは進んでいく。



俺の部屋にはソファはないから二人でベッドの上に座って映画観賞



ふと俺の隣。



膝を折って映画を見ているが気になった。






「・・・


「・・・・・」






の横顔は映画が何か展開を見せる度に表情を変える






「・・・・・」






そんな



俺はほとんど無意識に手を伸ばして



ベッドに置かれていたの手を握った。



は俺を見ることはなかったが



そっと手を握り返した。






「・・・・


「・・・・・・」




〈ギシッ〉




軋むベッドの音は俺がにキスをしたとほぼ同時に鳴る。






「・・・亮。見えない」


「だろうな」


「亮ー」






唇が離れたあともの顔をのぞき込む俺は



が映画を見る為の空間を遮断している。









「っ・・・亮、映画っ・・・・」




〈ギシッ〉




「次がしたい」


「亮っ・・・・」






ベッドの上で俺はを押し倒した。



キスをして



の不満を聞かないようにする。






「ん・・・・」









名作と呼ばれる映画より、

































































































を見ていたいと思った。





























































































































確かめたいのは、



いつだって同じだった。






「亮!ちょっと待って!!」


「なんだよ」


「なんだよじゃなくてっ!」






の胸元にキスを落として



俺の印をつける。






「亮!」


「・・・・」






俺は体を起こしての顔の両側へと手をベッドに押しつけ、の顔を見る。



視線を合わせて無言。






「っ・・・・」


「・・・そらすなよ、。」






俺が紅潮させた頬



が俺からそらした視線を戻すため



のあごを持ち上げてまたキスをする。






「・・・・ぁ・・」






そうやってお前が俺のことを好きだと確認して



浸り、溺れる優越感。





















映画の音が鳴り続ける俺の部屋



外からの音は何一つやんで。



時計の針は進んでいるんだろうか。



何一つ、感覚はやんで。



わかるのはのことだけだった。






「あ・・・・亮・・・」


「・・・・・」













怖く、なった。













名前を呼んでもこっちを向いてくれないから。



手を繋いでもの意識は俺とは別にあったから。



確かめたいのは、



いつだって同じだった。






「・・・・ごめん、。」


「・・・え?・・・あっ・・ん・・・・」






・・・・・・ごめん。



何一つ、俺があげられるものなどないのに。



何一つ、お前にしてやれることなどないのに。



手を繋ぐだけじゃもの足りなくて



何もない俺は、求めてばかりだ。






「・・・んん、あっ・・・亮・・」






確かめたいのは、



いつだって同じだった。



何もしてあげられない俺を



が好きでいるか



知っていたかった。










「りょ・・・亮・・・」






の手が俺の頬に触れた。








?」







は、



俺に微笑んで



















「亮」



「っ・・・・・・・」
















がくれる愛しさに、



本当は何か返してやりたい。



俺には、何もないけど。











の体をベッドから引きはがし



俺の腕の中に隠し、覆うように抱き締める。



2人の鼓動が、重なった。

































































































































「離したくない」


























































































何もやれないけど



何もしてやれないけど



この腕の中にいて欲しい。





















映画は、いつの間にか終わってしまっていた。

















「・・・起きたら怒るんだろうな、お前」














ベッドの上で眠る



頬に残った涙の跡。



そっと撫でて。







「・・・許せよ。こんなに好きになっちまったんだからよ。」







ベッドの上で眠る



キスを、落とした。



俺は何もやれないけど



何もしてあげられないけど



お前が側にいてくれるなら



永遠でもなんでも誓う。



神なんか信じてないから



誓うなら、お前にだけど。


































が起きたら絶対に映画を見直すと言い出すのはわかっていたから



まだお前が寝ているうちにすぐに映画が見られるよう、



ビデオをセットし直した。


















































End.