「なあなあ、切原!」



「なんだよ」



「昨日が男と歩いてたって聞いたぞ?」



「・・・・は?」





































『美しきかな青春』




































「あーかや!」


「・・・・・おう」


「ん?どうしたの?元気ないね」


「・・・・そんなことねえよ」






が俺と廊下を歩く。



そしてに誰もが振り返る。



見慣れた光景。






。」


「ん?」


「・・・腹減った。」


「まだ一時間目終わったばっかりだよ?」






が笑う。



そしてに誰もが振り返る。



見慣れた光景。



次の俺の授業は生物。は体育。



この曜日のこの時間。



移動教室は一緒に行くのが自然と俺たちの決まりになっていた。



はミス立海に選ばれた奴で。






「(うぜえ)」






に振り返る奴らを一気に睨み渡す。



特に男。






「赤也?」


「なんでもねえよ。」


「・・・?」






この曜日のこの時間。



廊下が俺によって凍りつくのは見慣れた光景。








は綺麗だ。



見慣れた横顔も。



笑った顔も。



身振り手振り。



話す声。話し方。



は綺麗だ。







そしてさっき教室でクラスメイトから聞かされたの浮気疑惑。






「今日はお弁当がんばって赤也のぶん作ったからお昼まで我慢しててね?」


「・・・ああ」






笑った顔も。



話す声。話し方。



俺は一目ぼれして、に話しかけて。



と付き合うようになって一年がたった。






(・・・・仕方ねえのかもな)






は綺麗だ。



見慣れた横顔も。



笑った顔も。



身振り手振り。



話す声。話し方。



は綺麗だ。



一目ぼれなんてあるわけがないと思っていた俺が一目ぼれ。






‘昨日が男と歩いてたって聞いたぞ?’






誰もが振り向く容姿。



俺以外にに一目ぼれする奴なんてきっとたくさんいる。



俺以外にが付き合ったことのある奴だって・・・・・。






・・・仕方ない






は綺麗だ。



容姿だけじゃない。



は、


























「赤也?授業遅れちゃうよ?」






























は・・・・・・






















































































































の手を掴む





「えっ?赤也?どこ行くの?」


「・・・・・・」


「赤也っ・・・」





を引っ張って廊下を歩く。



授業開始目前。



誰もいない教室を探し、そこへ入る。



<社会科資料室>



それと同時に始業のチャイム。














「赤也?」


「・・・・」














は、

























「んっ・・・・・・・・」






























は、俺のもの。




































































何度もキスをした。



が苦しそうに声をもらしても。



俺には関係なかった。



だっては俺のもの。






「・・・・・あか・・・や・・」


「・・・・・・」





資料室の壁にを押し付けて、



の頬を両手で包んで、逃がさないようにして。



は綺麗だ。



見慣れた横顔も。



笑った顔も。



身振り手振り。



話す声。話し方。



は綺麗だ。































一目ぼれなんてあるわけがないと思っていた俺が一目ぼれ



少しずつ知っていくは思っていた以上にずっとずっと綺麗な奴で。



けれど、彼女の全部を知ってるか?



そう聞かれたら、答えは

















‘知らない。’















「昨日誰といたんだよ」


「え?」


「クラスの奴が言ってた。お前が男と歩いてたって。」











・・・仕方のないことかもしれない。



は綺麗だから。













「男の人?」


「・・・・・・・・・・・」











一目ぼれなんてあるわけがないと思っていた俺が一目ぼれ



少しずつ知っていくは思っていた以上にずっとずっと綺麗な奴で。



けれど、彼女の全部を知ってるか?



そう聞かれたら、答えは





‘知らない。’





と付き合うようになって一年がたって






















「・・・・・・答えたくないなら、聞こえないフリでもいいけど」


















知らなければ気になるけど



知らなければ心が痛くなることはない。



今まで何人と俺みたいに付き合ったことあんの?



今まで何人に俺みたいにお前に近づいてきた奴がいんの?



俺じゃない奴の隣を歩いたの?


















































‘知らない’

























































「・・・・・でも、は俺のもん。」





仕方がない。



そんなこと言い聞かせても無駄。



変わらない事実は自分の中に定着。



は綺麗だ。



は、



俺のもの。











「・・・・・・・・昨日は赤也といたよ?」


「え?」


「昨日は赤也以外男の人とは話してないし、会ってもいない。昨日だけじゃないよ。赤也と付き合うようになってからずっと」










は綺麗だ。



見慣れた横顔も。



笑った顔も。



身振り手振り。



話す声。話し方。



は綺麗だ。






そしてさっき教室でクラスメイトから聞かされたの浮気疑惑。






「じゃあが昨日一緒に歩いてた男って・・・」


「・・・・・・赤也のことだね。絶対。」


「・・・・・・・・・」



















何だ、それ。



既に始まっている授業。



疑惑はただの誤解。



・・・・・・・・何にも言葉が出てこない。






「・・・・・・あー疑ってわりぃ、。」


「・・・・ううん」






クラスメイトはしめておこう。



それだけは思う。






「・・・・・・・・


「ん?」






もう一度



資料室の壁にを押し付けて、



の頬を両手で包んで、逃がさないようにして



キスをする。






「誤解とけたし、授業始まってるし」


「うん?」


「・・・・・仲直りしません?」
















































































もう一度、何度もキスをする。



きっと俺は





‘知らない’





知らないけど、



変わらない事実は自分の中に定着。



は綺麗だ。



















































































































































は、俺のもの。


























































End.