先生、





自分よりかっこいい女の子





振り向かせるには





どうしたらいいんですか。


























『山吹生徒会長物語1』






















朝の登校時間帯。



山吹の正門から入ってきた目立つ存在。





先輩!おっおはようございます!!」


「おはよ。」





伏せ目がちな目



大きな瞳に長い睫がかかる



あいさつと同時にくれる微笑み






あっ!にあいさつ返された子が失神!






「おはようございます!先輩!!」


「おはよ」


「おはよう、


「おはよ」






伏せ目がちな目



大きな瞳に長い睫がかかる



あいさつと同時にくれる微笑み



みんなはそれが見たくて






「必死だよねー」


「朝から独り言かよ」


「あれ?亜久津。おはよう」






いつの間にかに見とれて立ち尽くしていた俺の隣に



朝から煙草をふかした亜久津。






ってさ、ホント美人だよね。かっこいいし!」


「・・・お前の目が悪いんじゃねぇの?」


「なんだっけ・・・えっと確か、立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は・・・・姿は?」


「百合の花」


「そうそう!歩く姿は百合の花!!」






ん?今の声・・・






「朝から煙草こんなとこで吸うなよ、亜久津」


「・・・またてめーかよ。」


「亜久津の体とか別にどうでもいいんだよ。学校の敷地内で煙草なんて全校生徒に迷惑だってあたし何回言った?」


!おはよう!!」


「おはよう。千石」






俺も見たかったのに



伏せ目がちな目



大きな瞳に長い睫がかかる



あいさつと同時にくれる微笑み



は亜久津と睨み合い



俺のところを見てもくれなかった。






「生徒会長だか知らねえけど、うるせぇんだよ」


「分かってるじゃない。あたしはここの生徒会長なの。亜久津が何をするのも勝手。でも他の生徒に迷惑な行為は注意する義務があたしにはある」


「・・・・」


「あのさ、2人とも・・・」






朝から怖いよ。



さっきまでにあいさつしたくてたくさんいた後輩も同級生も



と亜久津の殺気が怖くて近付けないでいる






「・・・っち」






亜久津が煙草を口から離した。






「亜久津ポイ捨て禁止」


「うるっせぇんだよ」


「えっ!亜久津携帯灰皿持ってるの?!」






亜久津がポケットから取り出した携帯灰皿



亜久津は煙草をそれにいれる。






「・・・・亜久津。昼休み生徒会室に来て。話したいことがある。」






亜久津は何も言わずに校舎の中に入って行った。






「・・・・亜久津に灰皿持たせたの、?」


「さぁ。」






は静かに笑った。



瞳を閉じて



優しく。






(立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は・・・えっと、百合の花。)






は美人。



かっこいい。



亜久津に言うこと聞かせるなんて



きっと以外できない。






「そう言えば千石。さっき南が探してたよ。朝練は?」


「・・・・・・・・・・あ。」






そうだよ!俺寝坊して。






「俺行かなきゃ!じゃあね!!!」


「あっ千石!」






急いで朝練に向かって走り出した俺



の声に振り返る。





































「部活、がんばって。」
































伏せ目がちな目



大きな瞳に長い睫がかかる



それと同時にくれる微笑み






「うん!!!ありがとう!!!!」






がそう言ってくれればいつもの練習の何倍も何十倍も頑張れた。



南には怒られたけど












立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花










は美人。



かっこいい。



俺なんかよりずっとずっとかっこいい。



この学校の誰もがが好きなはず



亜久津でさえのこと嫌いになんてなれないと思うんだ。























































































































































(ガラっ)






「・・・なんだ、千石か・・・。」






昼休みの生徒会室。



はいつもここにいる。



はイスに座っていた。





「あれ?亜久津来てないの?」


「来ない気かもね。・・・千石はなんで亜久津が呼ばれたか気になって来たの?」


「うん。興味。」


「興味で来るなよ」






あきれた表情の



そんな表情でさえ美人でかっこいい。






はどうしてそんなに美人なの?」


「千石が美人だと思うから美人に見えるだけであってあたしは別に美人じゃない」


「俺はが美人だから美人だと思うんだよ」






卵が先かにわとりが先かみたいな話。



でもが美人なのは俺がそう思うからじゃないよ






「・・・亜久津。来ない。」


「亜久津が今度は何をやったの?」






生徒会長の



山吹の生徒間の問題



他校との問題



いろんな仲裁にはいっては温和に物事をおさめてくれる。







亜久津はケンカがしょっちゅうで



他校の生徒相手に見境ないからにかなりお世話になっているはず



それも亜久津がの言うことを聞く理由かも知れないけど。







「・・・この前亜久津が歩いてて他校の生徒にからまれて・・・」


「ケンカ?」


「亜久津が一発殴っただけだったんだって。相手は一人でそれで終わったらしいんだけど」


「でも向こうからからんで来たんだよね?亜久津悪くないじゃん」






殴ったほうが悪いっていうのが世間の常識らしいけど






「問題は殴った相手」


「相手?」


「何度も補導されたことがあって、警察に監視処分にされたこともある奴らしいんだよね」


「監視処分?・・・って、それが調べたの?」


「亜久津が絡まれたって聞いたから」






いいな、愛されてるよ亜久津。



は分け隔てなく誰でも平等に接してくれる。



みんなから慕われてる



そんなを振り向かせたいって



俺だけを見てて欲しいって思う俺は、愚か?






「亜久津が何もされなきゃいいんだけど。」






亜久津を心配するの姿



伏せ目がちな目



大きな瞳に長い睫がかかる。



故意なことじゃなく無意識なこと。



にとっては癖になっているらしいそれは



が美人であることを強調させる。






「(なんでそんなに美人なの?)」






たまにその綺麗さに、かっこよさに目を奪われて、動けなくなる。



立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花。



先生、



自分よりかっこいい女の子



振り向かせるには



どうしたらいいんですか。



















「・・・・


















(ガラっ)






先輩!なんか体育館でバレー部とバスケ部がもめてて・・・・」


「すぐ行く。」






生徒会室の扉を勢いよく開けた後輩。





「ごめん、千石。何か言いたそうだったけど・・・」


「あっ!いいよ全然!!また今度で!!」






俺の振り絞った勇気は喉につっかえての生徒会長の肩書きを超えられなかった。



が立ち上がって生徒会室から出て行こうとする。





「悪いんだけどさ、亜久津が来たら待っていてもらえるように言っといてくれない?」


「はいはい、いいよ。」


「ごめんね、千石。」






申し訳なさそうな顔でさえ、綺麗で。



立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花。













「いいな、亜久津。に愛されてて。」












俺一人になった生徒会室。



昼休みの間俺はずっとここにいたけど、



も亜久津も誰も生徒会室には来なかった。
















































































先生、





自分よりかっこいい女の子





振り向かせるには





どうしたらいいんですか。
































end.