「・・・・・」


「亜久津。」


「生徒会長様がサボるか?普通」


「教師公認ならいいでしょ?」


「・・・どいつもこいつも頭おかしいんじゃねぇの?」


「・・・あのー」






今日の最後の授業中



屋上で



俺の目の前で繰り広げられる



と亜久津の睨み合い



・・・そうやってまた俺がいない雰囲気かもしだすのやめようよ





















『山吹生徒会長物語2』
























「・・・・・亜久津」


「・・・・」






の綺麗な声が乾いた空気に通る



今日もいい天気だなぁって



俺は空を見上げる






「気をつけてって伝えに来ただけ。この前亜久津が殴った奴・・・」


「うるせぇよ。」


「亜久津、は亜久津を心配して・・・」






だからさ、



そうやって俺がいない雰囲気かもしだすのやめようよ・・・。






「あたしだってかばってあげきれない部分がでてくるかも知れない」


「・・・・」


「亜久津・・・」






いいな、亜久津は愛されてて



亜久津はの言葉なんか無視



仰向けに寝転がって空に目をやっていた。





(仰向け・・・)





どうせ俺はいない雰囲気は継続されてるし



俺はを見たけど



やっぱりはこっちを見てくれない。



合わせたかった目線は行き場を無くしたから



俺はふて寝を決め込んだ

















「きゃー!!」















空は青い



今日もいい天気



そう言えば外国では機嫌がよくない時とか



ブルー、



青って色を使うんだって。




















「助けて!」














じゃあ俺の今の気分はこの空みたいな青なのかな。





(にしては、いい天気)












「きゃー!嫌ー!!」




















































「・・・。さっきから悲鳴が聞こえるんだけど」


「・・・千石も?」






俺の目は空を映したまま



だけどが俺の声に反応してくれたから体を起こした。






「・・・・


「しー」






が耳をすます






「・・・下。」






の一言で俺もも屋上を囲むフェンスにしがみつくようにして



屋上から見えるグラウンドを見た。






「「!!」」


「亜久津を出せ!」


、あれって・・・」


「今亜久津って・・・」






見下ろすグラウンドには今体育の授業だったらしき女子生徒と



一人の他校の生徒





(・・・男)





屋上を見渡すとさっきまで仰向けに寝ていた亜久津の姿がない






「え?亜久津?」


「あいつ亜久津に殴られた・・・」


「監視処分になったって言う不良?!!!」






いきなり走り出した



あっという間に屋上から姿を消した。






「っ・・・速いよ!!」






俺はを追いかけた。





















































































































「(!!)亜久津!」






グラウンドには体育だった女子



腕から血を流して座り込む亜久津



後ろ姿の



それから、亜久津に殴られたと言う男は手にナイフを持っていた。






「(嘘だろ?)」






非現実的すぎ。



ナイフって危ないって!!



亜久津あれでやられたの?



体育の教師はなんでいないんだよ?!





「下がってなよ、亜久津。」


「っ・・・ざけんな!てめぇが下がれ!!」





と亜久津の言い合いに一気に現実に帰る俺





「亜久津!!」





俺は亜久津に駆け寄る。



すごい出血の量だった。



白い制服の上着を脱いで亜久津の傷口を圧迫する





「とりあえず止血だよ!」


「千石、そのまま亜久津押さえてて」


「ちょっ!!」






はナイフを持ったそいつに向かって真っ直ぐ歩いていく





!」





これ以上俺を混乱させないで!!



亜久津の腕の傷を圧迫し続ける



その間にもは歩みを止めない






「・・・あんたさ、ナイフがないと誰にも勝てないわけ?」


「そいつが俺のこと殴ったんだぜ?当然の報いだろ?」


「バカ?」


「うるせぇんだよ!誰だよてめぇは?!」


「・・・亜久津の彼女」


「「嘘!!」」







見事にそろった俺と亜久津の声



その声を合図にが男に向かって走り出した。






















「本当は生徒会長!!」



















男がに向かってナイフを突き出す



はそれを腕で流してナイフをよけた。





!!」





がかがんで男に足をかけて転ばす



ナイフが男の手から落ち、はそれを奪おうとしたけど



ナイフを手にしたのは男の方が先だった。






「亜久津!自分で押さえて止血して!!」






にもう一度切り付けようとする男に俺は飛び掛かった。






「千石!!」






の声だ。



非現実的すぎ。



ナイフって危ないって!!



亜久津あれでやられたの?



無我夢中ってやつだった。



俺が男を押さえている間にがみぞおちに思いっきり蹴りをいれて



男がくずれた。



一瞬目に映った空だけがやけに印象に残って



俺はそのまま意識を空へ飛ばした。




































































「千石?」


「・・・・」


「起きた?」


「(・・・!!)!!無事?!怪我は?!」


「大丈夫。千石は?怪我はない?」






そこは保健室のベッドの上だった。



はっきりした意識は非現実的な出来事を思い出した。






「・・・大丈夫だけど」


「ならいいんだ」






の綺麗な笑顔



吸い込まれそうな綺麗さ






「あいつは先生達が警察に連れてったよ。亜久津は血が止まったらすぐどこかに行っちゃった」


「・・・・」


「千石?」


「俺、かっこ悪い・・・」






綺麗な



凛とした態度



今だってあんなことがあった後で



ずっと俺についていてくれたんだよね?






「千石はかっこよかったよ」


「かっこ悪いよ」


「そんなことない。」






ダメだよ、俺なんか。



かっこつけたところでよりかっこよくなんてなれない。



を助けたくて夢中だったけど



結局失神。






(うわーダメだ俺)






「千石はかっこよかったよ、あたしなんかよりずっと」


「・・・嘘」


「千石が来てくれてあたしは助かったんだよ?」












立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花











君の笑顔はうれしい。



の言葉はうれしい。






「・・・


「何?」


「昼休みの続き、言ってもいい?」






は分け隔てなく誰でも平等に接してくれる。



みんなから慕われてる



そんなを振り向かせたいって



俺だけを見てて欲しいって思う俺は、愚か?






は美人で、俺なんかよりかっこよくて、みんなから好かれてて」


「・・・・」






立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花



咲いてる花が



誰のものにもならないように



に手を伸ばして摘み採っても



きっとは俺のものにはならない。






「でも俺いつかよりかっこよくなるよ。」





花が見とれるものは何?



俺はそれにならないと



はきっと手に入らない



振り向いてくれない





が好きです。付き合ってください。」


「千石・・・」












君は俺たちの生徒会長



俺だけのものじゃない。











「ごめんね、千石。あたし千石のことそう言風に見えない」


「・・・・うん」


「ごめんね」


「・・・諦めないよ」


「え?」


「諦めたら俺はかっこ悪いままだし」

























折角がかっこいいって言ってくれたから。



だから、諦めないよ。



諦めたら終わる。



を俺以外のものにはさせない



は驚いた顔で俺を見ていた。









「ね、いいでしょ?








が目を伏せた。



長い睫が大きな瞳にかかって



それと同時に向けられた笑顔
















































「落とせるものなら落としてみなよ」

































は美人。



はかっこいい。



立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花。



そんなは山吹の生徒会長。















先生、



自分よりかっこいい女の子



振り向かせるには



自分がかっこよくなるしかないよね。



どんな先生に聞いても答えはくれなそうだけど。




















































いつか絶対に





君を振り向かせるよ

















































end.