それは





世界中が幸せで





俺だけが不幸だった。

















『ユメウツツ』
















「跡部?・・・跡部ー。・・・跡部!!」


「聞こえてる」


「じゃあ返事してよ。予算のさ・・・跡部ー。」





コートでは



テニス部の部員が強い日差しの中練習していた。





「聞いてる。続けろよ、。」


「・・・テニス部の予算のですね、見積もりが高過ぎるんですって。」





マネージャーであると俺は



コートの脇で一枚の紙を相手に話していた。





「どこけずる?やっぱりドリンクとかからかな・・・でもなぁ。」





さっきから俺の目の焦点が合わない。



俺はを見ているつもりなのに



なぜかぼやける。

















「跡部?」

















争いなどないこの世界は



誰もが幸せで笑っていて。























「跡部。どうしたの?今日なんか変だよ。」





























ただ、どんなに探しても



お前がどこにもいなかった。




























「ずっと俺の側にいろよ、。」


「え?」


「離れるな」










ぼやけるな。



俺のこの目に映っていろ。











コートが静かになる。



いや、俺が何も聞こえなくなっただけなのか。






















「・・・離さなきゃいいじゃん。」


















目の焦点が合う。



目の前のがはっきりと映る。



自分で言っといて照れるなよ。



うつむくの頬が染まる








































「離さねえよ。」
































の言葉に妙に納得して笑って言った。



お前の声が聞こえた後



急にコートはまた練習の音で騒がしくなった。





















「よっ予算どうしよっか?」


「削る必要はねえ。俺が折衝会にでる」


「えぇ?!」












































それは



俺だけが不幸だった。






















世界中が幸せでもお前がいなければ



俺は。





(ただの、夢の話だ。)





俺から離れるなよ、

















































呼吸すら忘れるほどに、俺に消えてしまえばいい。


























end.