「吸ってんの?」
「だったら?」
俺の手には今、
煙草の箱。
『実験結果』
天気がよかった。
雲一つない青空。
屋上でサボることに決めて、
来てみれば
落ちていた煙草の箱。
(…ふーん)
近付いて手にとる
「仁王?」
「」
屋上に入って来た奴は
会えば話をする
それだけの仲
「サボり?」
「いい天気じゃけえ」
「ね。」
の視線が
俺の手元に移る。
「・・・吸ってんの?」
「だったら?」
「真田に言う」
会えば話をする
それだけの仲
「いい解決策じゃ」
試してみたくなった。
目に見える現実と俺
お前さんはどっちを信じる?
「…ふーん。へえ。」
「何?」
「たばこっておいしいの?」
「吸ってみたらわかるんじゃなか?」
「…そんなことしてたら真田に怒られるだけじゃすまないよ仁王。」
「…」
「スポーツマンでしょ?」
「関係ある?」
「体力減るよ」
「(くくっ)お前さん、心配してくれんの?」
滑稽に思えて笑いが込み上げてくる。
よく考えれば
この実験結果はもうでてる。
先入観があれば人は簡単に意見をまげないから。
「折角、テニス強いのに」
「…ふーん」
決定打。
「…じゃあ、真田に怒られに行ってくるかの」
「なんで?」
今は屋上から去ろうとして
に背中を向けている俺。
「今のは仁王が吸っていればの話でしょ?」
「俺が吸ってないって?」
「吸ってるなんて言ってないくせに。」
「吸ってないとも言っとらんよ」
「でも仁王は吸ってない」
振り返った俺。
お前さんは今どんな顔しとる?
「信じてるもん」
目があえば
が言った。
「数字の煙草吸う先生いるじゃん。あいつたまに屋上で吸ってるし。あいつが落としてったんじゃないの?」
「・・・学校の敷地内は喫煙禁止なのにの。・・・うん、たぶんあいつ。」
白状すれば
が笑った。
「まいった」
「ん?」
「なんでもなか」
ただ試そうと思った。
会えば話をする
それだけの奴。
(予想外じゃけえ。)
信じてると笑った。
不覚にも
好きになったらしい。
end.