「お前さ・・・細ぇよ。折れそう。」
「折れないよ。・・・っていうか赤也。恥ずかしいからあんまり見ないで」
「しょうがねぇじゃん?見えるんだし」
「・・・・・・・・・バカ」
キスを交わして一枚ずつの服を脱がす
初めて見たの体は思っていた以上に細くて
抱き締めたら壊れそうで、怖かった。
『呪縛』
場所は俺の部屋。
俺にとっては初めてのことじゃないし
きっとにとっても初めてのことじゃない。
でも二人にとっては初めてのことだったから気恥ずかしくて、仕方がない。
「・・・細ぇって、ちゃんと食ってる?」
「食べてるったら・・・ん・・・」
ベッドに二人
向かい合って座る
を押し倒さないのはわざと。
俺は座ったままの肌に触れた。
「あ・・・かや・・・・」
「あ?」
「恥ずか・・・し・・」
の体が震える
俺はまだが横になるのを許さなかった
泣き目のが上目使いで俺を見る
それに酔い痴れて
「っ・・・赤也ってば・・ぁんっ・・・」
「もうちょい。、かわいいから」
「やっ・・・ぁ・・」
卑猥な水音との声
耳につく。
耳に響く。
「やだっ・・・やだやだ赤也っ・・・恥ずかし・・・」
が泣き出した。
(やりすぎ?)
それですら酔い痴れて
「・・・悪かった、。」
その細い体を押し倒す。
「細ぇよ・・・」
「んっ・・・赤也・・・」
押し倒したの体
抱き締めたら折れそうだった。
手で触れれば俺の手もの肌も熱を持つ
「」
「あんっ・・・あっ・・・・あ・・かや」
「(壊したい)」
抱き締めたら折れそうで
俺が泣かせた涙が
いたたまれなくなって
壊れそう。
壊したくない。
壊したい。
「なぁ」
「ん・・・なぁっ・・・」
「・・・呪縛って知ってるか?」
に俺の声はきっと聞こえてない
の耳にも卑猥な水音との声
耳につくから
耳に響くから
「相手の心の自由を奪うことだって」
今日の国語の授業
頭から離れなかった
教科書の小説
一つの熟語
呪縛。
「(壊したい)」
俺が泣かせた涙がいたたまれなくて
俺は壊れそうなほどにを抱き締めた。
「・・・赤也・・・」
「・・・・」
折れそうなほど細すぎる。
壊そうとしてる
壊したくない
なのに、壊したい
「(壊れろ)」
呪縛って言葉を知ってる?
相手の心の自由を奪うことだって。
壊れろ。
俺のこの手で
俺しか見えなくさせて
に呪縛をかけて。
抱き寄せていたのを離した体
二人とも熱をこもらせたまま
俺にとっては初めてのことじゃないし
きっとにとっても初めてのことじゃない。
でも二人にとっては初めてのことだった。
「」
卑猥な水音の声
耳につく
耳に響く
「(壊れて?)」
「・・・赤也・・・」
俺は、いつだって泣きたくなるほど幸せだった。
はいつだって
俺を探して手を伸ばしてくれたから。
壊したくなるほどを好きになったから
「・・・っ・・・。」
俺を探して宙をさまよっていたの腕を
俺の首にまわさせた。
「赤也・・・・大・・・好き」
俺の耳元でが言う。
壊れそうなほどその体を抱き締めて
俺はと一つになった。
「(壊れて?)」
壊れろ。
俺のこの手で
俺しか見えなくさせて
に呪縛をかけて。
呪縛をかけられたのは、
俺のほう。
俺の心はに縛られて、自由なんかじゃいられない。
end.